2022/12/29

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【ハンガリー国立フィル 来日直前インタビュー】オーケストラメンバーが語る、小林研一郎マエストロ、日本への思い ―― オーボエ奏者 クビナ・アーグネシュ ――

1974年に第1回ブダペスト国際指揮者コンクールに優勝して以来、ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者や音楽監督を歴任し、長年にわたりハンガリーで愛されるマエストロ、小林研一郎。
オーケストラメンバーが、小林マエストロへの思いや懐かしい出来事について語っています。

ハンガリー国立フィル クビナ・アーグネシュ

クビナ・アーグネシュです。オーボエとイングリッシュ・ホルンを担当しています。
35年間このオーケストラに在籍しています。

1974年に小林研一郎マエストロが指揮者コンクールで優勝した時、全国にテレビ放映されました。当時、国営テレビが2局あり両局とも国際指揮者コンクールを放映していましたので彼は有名で全国民が彼を知ることとなりました。
私も、首席コントラバス奏者を務める兄もまだ子供でしたが、家族でコンクールに注目していました。そのとき父が「この小さな日本人が素晴らしい指揮をするんだ。」と言っていたのですが、87年に小林さんが(常任指揮者に就任し)私達2人の上司になるなんて、父にとって夢が叶ったような思いでした。
私はその年に入団し10年間小林さんが常任指揮者でしたが、誰かに小林さんについて話をした時にも、彼を知らない人はいませんでした。私は彼が常任指揮者という事を誇りに思っていました。

リハーサルでは彼から多大なリスペクトを受けましたし、大変尊敬していたので、少し近寄りがたい存在でもありました。怒鳴りつけたり、誰かを追い詰めたり、辞めさせるというようなことは一切なく、彼のスタイルは、私達が全力で応えたいという気にさせたのです。そんな彼の指揮に対し、私たちは命を預けるかのように全身全霊で演奏に臨みました。
小林さんが指揮するコンサートを、観客やオーケストラは楽しみにしていました。満席の上に立ち見客まで押し寄せ、リスト音楽院ホールは熱気に包まれ、消防法を思うと良いことではありませんが(笑)、小林さんの指揮するコンサートはそれだけ盛大な祝典だったのです。
音楽家でない家族に、あの時代がどうだったのかと聞いたのですが、常に小林さんは格別なオーラを放ち指揮で私たちを魅了してくれるので、彼のコンサートに行く事は特別な出来事だったと答えました。

私達が若手の頃に日本へ行けたことはとても貴重な経験でしたし、何度も日本へ行く機会に恵まれ、皆、本当に感謝しています。滞在期間中、小林マエストロは常に紳士的に私たちをもてなしてしてくれました。私にとって人生初めてのことでしたが全楽団員を中華料理店に招待してくれたり、難しいプログラムの前にもレストランへ招待して下さいました。お菓子やバナナやプレゼントも頂きました。これらも私たちにとっては大きな出来事でした。
2016年の日本ツアーでは、私がイングリッシュホルンのソロを担当したベルリオーズ:幻想交響曲の東京公演の後、バラの花束を私に渡してくれました。小林マエストロから頂いた日本のバラの特別な花束で、私にとって大切な思い出でもあり、1台目のスマートフォンの待ち受けにしました。

―― ハンガリー国立フィルはどんなオーケストラでしょうか。

私の好きな仕事も趣味も一つにまとまり、それで収入を得ることができて本当に幸せ者だと思っています。仕事でもありますが、自分がやりたい事でもあるのです。
オーボエパート4名は35年間変わらず共に演奏してきました。高校で指導してくれた私たちの恩師が以前在籍していましたし、彼の奥様がイングリッシュホルン奏者でもありました。恩師の教えを受け継ぎ、現在も交流を保っていて、恩師の70歳も80歳の誕生日もチェロのタマーシュさんの家でお祝いをしました。タマーシュさんの奥様もオーボエ奏者です。
このオーケストラのオーボエパートには伝統が手で触れられる程、身近なものであり、恩師から習得した事を自分の生徒に伝授していっています。14歳の頃からこのオーケストラに入りたいと思っていました。その夢は20歳で実現しました。
10年後、ここから退職出る事を今は願っています。同僚達は子供の頃からの友人達でもあるのです。同僚の一人が冗談で『オーケストラは家族のようだ』と言っていたのですが、本当にそうだと思っています。

―― 日本ツアーに向けて、メッセージをお願いします。

日本ツアーがとても待ち遠しいですし、ツアー中の日本の旅を楽しみにしています。
小林 研一郎さんとの共演も楽しみにしています。チャイコフスキー:交響曲第5番、ドヴォルザーク:「新世界より」など最高のプログラムとなっています。「新世界より」2楽章のイングリッシュホルンのソロは私が担当しますので、現在準備を進めています。82歳。こんなにも素晴らしいオーラを持ち合わせるマエストロ。全てのコンサートが素晴らしいものになるでしょう。

ハンガリー国立フィル
<写真:左より[ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団]コー・タマーシュ (チェロ)、クビナ・アーグネシュ (オーボエ/イングリッシュホルン)、コヴァーチ・イムレ (フルート)>

【ハンガリー国立フィル 来日直前インタビュー】
オーケストラメンバーが語る、小林研一郎マエストロ、日本への思い

首席フルート奏者 コヴァーチ・イムレ
オーボエ奏者 クビナ・アーグネシュ
チェロ奏者 コー・タマーシュ


小林研一郎 指揮 ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団
《公演情報》
現代いまを熱く駆けるマエストロが謳い上げる、時代を強靭に生き抜いた作曲家たちの魂
ハンガリー国立フィル創立100周年記念コンサート
小林研一郎 指揮 ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団

新年の幕開けを告げる“新世界”ほか (千住真理子出演)
日程:2023年1月16日(月) 19:00開演
王道の名曲プログラム (仲道郁代出演)
日程:2023年1月17日(火) 19:00開演
会場:サントリーホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/p988/

ハンガリー国立フィル


◆千住真理子のアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/marikosenju/
◆仲道郁代アーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/ikuyonakamichi/
◆ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団アーティストページはこちらから

https://www.japanarts.co.jp/artist/hungarianphil/

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