2023/9/12

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国際音楽祭NIPPON2024 オンライン記者会見レポート

2023年9月11日(月)都内にて、国際音楽祭NIPPON2024芸術監督 諏訪内晶子によるオンライン記者会見が行われました。2012年から8回目となる国際音楽祭NIPPON2024は、2024年1月11日から2月27日まで、東京・愛知・神奈川・岩手にて7企画10公演の多彩なラインナップで開催されます。

国際音楽祭NIPPON2024は、「トップクオリティ」「未来を創る」「心をつなぐ」の3つのキーワードを中心に企画立案されています。諏訪内晶子のモーツァルトのヴァイオリン協奏曲全曲演奏会では、ウィーン出身の指揮者サッシャ・ゲッツェルを迎え、国内外から名手を集めたフェスティヴァル・オーケストラと共にお届けします。またクラシック&モダンの室内楽プロジェクトでは、ウィーンで1800年代と1900年代に作曲された作品等の対比でお楽しみいただきます。そのほか、シューマンの室内楽マラソンコンサート、マスタークラスやアウトリーチ活動など、趣向を凝らした企画ラインナップや、開催に向けての思いを語りました。

諏訪内晶子

登壇者 諏訪内晶子(中央)、ジャパン‧アーツ代表取締役社長 二瓶純一(写真右)、同常務取締役・国際音楽祭NIPPONプロデューサー 山田亮子(左)

諏訪内晶子

芸術監督の諏訪内晶子よりご挨拶

2020年の国際音楽祭NIPPON2020の開催中から、コロナ・ウィルス感染拡大となりました。3年ぶりに通常の形で音楽祭を行えることを本当に嬉しく思っています。この音楽祭がスタートして10年、マスタークラスに参加した若い人たちがコンクールで賞を取るようになりました。今回、その方々がフェスティヴァル・オーケストラや室内楽に参加します。音楽祭が10年続いたことを感慨深く思います。

企画ラインアップの紹介に続き、フェスティヴァル・オーケストラの指揮を務めるサッシャ・ゲッツェル、室内楽の様々なプロジェクトに出演するヴァイオリンのベンジャミン・シュミットからのメッセージが紹介されました。

サッシャ・ゲッツェル(指揮)

現代の最もすぐれたヴァイオリニストのお一人である諏訪内晶子さんと、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲でご一緒できることは私にとって大きな喜びです。またフェスティヴァル・オーケストラとの共演も大変楽しみにしています。モーツァルトが若い頃に作曲した作品から最後のヴァイオリン協奏曲まで、私たちが心から心へお届けるする“モーツァルトの旅”をどうぞお楽しみください。

ベンジャミン・シュミット(ヴァイオリン)

素晴らしいヴァイオリニスト諏訪内晶子さんに招かれて、また日本に行けることを嬉しく思います。ウィーン出身の私にとってオーストリアの音楽は私の心の核心であり、これらの偉大な遺産を紹介することができ大変幸せです。モーツァルトは全時代を通して最も才能溢れる作曲家ですし、シューベルトはこの惑星で最も深い音楽を作ったと言えるでしょう。そしてシューマンは史上最も情熱的な作曲家であり、シェーンベルクは革命的な作曲家でした。私達は非常にロマンティックな弦楽六重奏のための「浄められた夜」を演奏します。この曲で若きシェーンベルクは、いつでも転調できるということを証明しようとしたかのようです。どうぞ偉大な音楽作品をお楽しみください。

国際音楽祭NIPPON2024は、音楽学者・音楽評論家の沼野雄司さんと舩木篤也さんのお二人にプログラム監修を務めていただいています。記者会見では、沼野雄司さんをお迎えし、芸術監督の諏訪内晶子とのトークセッションを行いました。

諏訪内晶子
<音楽学者・音楽評論家の沼野雄司氏(左)、諏訪内晶子(右)>

沼野雄司氏より、室内楽プロジェクトのCLASSICは18世紀のウィーン楽派中心のプログラム、室内楽プロジェクトのMODERNは19世紀の新ウィーン楽派が中心です。CLASSICに、なぜパガニーニが?と疑問に思われる方も多いでしょう。実は、当時、超絶技巧で有名なパガニーニは、世界中で演奏会を行い、行く先々で聴衆を圧倒していました。ウィーンでも公演を行い、ウィーンの人々に大きな影響を与えています。沼野氏からの「諏訪内さんにとってパガニーニはどのような作曲家ですか?」という質問に、諏訪内晶子は「人々が話しをしているような、オペラのようなところがある。またヴィルトーゾ的にも演奏する必要がある。さまざまな要素を求められる作曲家だと思います。」と答えていました。

また、今回MODERNではベルク、ウェーベルン、シェーンベルクなど19世紀の新ウィーン楽派を取り上げるので、次はもっとハードな現代音楽をやってみてほしいという沼野氏からのリクエストには、「現代音楽については、演奏するだけでなく、伝え方も奏者の役割だと思っています。 聴く方に拒絶反応が出てしまっては残念なので、徐々に紹介していけたら」と回答。そして、MODERNでは新ウィーン楽派の影響を受けた日本の現代作曲家 安良岡章夫氏に委嘱した新作が披露されます。安良岡氏は、なんと諏訪内の高校時代の担任の先生とのこと。「当時、エリザベート王妃国際音楽コンクールに入賞した時期で、あまり学校に行けなかったので、先生をだいぶ困らせてしまったかと思います。大学院では安良岡先生の作品で論文をまとめたこともありました。」

最後に寄せられた質問に答えました。

― 東日本大震災後の支援活動を続けられてきました。この活動を通して、感じたこと、考えたことをお聞かせください。
未来に目をむけている若い方々に出会い、私のほうが励まされる思いがしました。また被災地での演奏会に同行してくれた若い音楽家たちがもつエネルギーは、言葉にせずとも、思いは伝わるのだということを実感し、普段とはちがう状況で、あたらしい経験をさせていただきました。私のエネルギーの源にもなっています。

―モーツァルトを重点的に取り上げる狙いと、一連の作品に対して現在感じていることを教えてください。
今回のテーマがウィーンですので、モーツァルトは外せません。モーツァルトはヴァイオリン・コンチェルトを10代の後半に一気に書き上げていますが、自筆譜をみるとアイデアのほうが手より先にいってしまっていることがわかります。ウィーン出身のサーシャ(サッシャ・ゲッツェル)と、フェスティヴァル・オーケストラのみなさんと統一感のある音楽をお届けできると思います。

―諏訪内さんが思う「モーツァルトの協奏曲の魅力」を教えてください。
パガニーニと共通するところがあると思うのですが、コンチェルトの中にオペラ的なものも含む、様々な要素が詰まっていると感じます。コンチェルト全曲を通して、 モーツァルトの世界観を伝えたいと思います。

―モーツァルト:クラリネット五重奏曲について
ポール・メイエさんとは初共演でもあり大変楽しみです。管楽器との共演は、弦楽器奏者にとっては、息つぎがあるという点が大変特殊です。素晴らしい管楽器奏者は、息つぎそのものが音楽になっている。考えてみれば息をしないと生きていけませんので、それがそのまま音楽になっているというのは本当に素晴らしい。素晴らしい管楽器奏者と共演する際は、どのように息つぎをするかを、密かに楽しみにしています。

諏訪内晶子

2024年1月11日から2月27日までの約一か月にわたり開催される国際音楽祭NIPPON2024、「AKIKO SUWANAI plays モーツァルト ヴァイオリン協奏曲 オール・モーツァルト・プログラム」を皮切りに、多彩なラインアップでお送りいたします。どうぞご期待下さい!


国際音楽祭NIPPON2024 芸術監督:諏訪内晶子
https://www.japanarts.co.jp/special/imfn/

■サッシャ・ゲッツェル指揮 国際音楽祭NIPPONフェスティヴァル・オーケストラ 諏訪内晶子(ヴァイオリン)
モーツァルト ヴァイオリン協奏曲 全曲演奏会(全2回)/東京
2024年1月11日(木)19:00開演 東京オペラシティ コンサートホール
2024年1月12日(金)19:00開演 東京オペラシティ コンサートホール
モーツァルト ヴァイオリン協奏曲 セレクション/愛知
2024年1月13日(土)18:00開演 三井住友海上しらかわホール

■〜諏訪内晶子&フレンズ〜 コンサート in 大船渡
2024年2月17日(土)大船渡市民文化会館 リアスホール

■ミュージアム・コンサート
2024年2月18日(日)トヨタ産業技術記念館 エントランス・ロビー

■諏訪内晶子プロデュース 室内楽プロジェクト~
Akiko Plays CLASSIC with Friends ~ウィーン1800~
2024年2月19日(月)19:00開演 紀尾井ホール
Akiko Plays MODERN with Friends ~ウィーン1900~
2024年2月21日(水)19:00開演 紀尾井ホール

■シューマン 室内楽マラソンコンサート
2024年2月23日(金・祝) 東京オペラシティ コンサートホール
[ 第1部 ] 11:00開演 [ 第2部 ] 14:00開演 [ 第3部 ] 16:00開演 [ 第4部 ] 19:00開演

■マスタークラス(ヴァイオリン部門)
2024年2月26日(月)マスタークラス第1日目
フィリアホール・コンサートホール(横浜市青葉区民文化センター)
フィリアホール・リハーサル室(横浜市青葉区民文化センター)
2024年2月27日(火)マスタークラス第2日目 修了演奏会
フィリアホール・コンサートホール(横浜市青葉区民文化センター)
フィリアホール・リハーサル室(横浜市青葉区民文化センター)

■マスタークラス(チェロ部門)
2024年2月11日(日・祝)マスタークラス第1日目 
フィリアホール・リハーサル室(横浜市青葉区民文化センター)
2024年2月12日(月・祝)マスタークラス第2日目 修了演奏会
横浜みなとみらいホール 小ホール


◆諏訪内晶子のアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/akikosuwanai/
◆サッシャ・ゲッツエルのアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/saschagoetzel/
◆ポール・メイエのアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/paulmeyer/
◆米元響子のアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/kyokoyonemoto/
◆阪田知樹のアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/tomokisakata/
◆カルテット・アマービレのアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/quartetamabile/

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