2023/2/17

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ポール・メイエ インタビュー【前編】

2023年3月に、5年ぶりの来日ツアーを予定するレ・ヴァン・フランセ。
ツアーに先駆け、メンバーの一人、ポール・メイエ(クラリネット)にインタビューを行いました。前編、後編に分けてお届けいたします。

ポール・メイエ

Q こんにちは、メイエさん。2020年にはコロナ禍でレ・ヴァン・フランセのツアーが中止になってしまいましたが、今回ついに日本に来ていただきます。

本当に嬉しいです。この時をずっと待っていました。ついに日本に行けるんです!

Q まず、今回の演目に関して質問です。エリック・タンギー氏の新作について、お話を聞かせてください。

はい。実はこの曲はまだ聴衆の前で演奏していないので、メンバー以外まだ誰も聴いたことがないのですよ。エリック・タンギー氏の作品は現代作品ですが、難解ではありません。どちらかと言うとクラシック寄りです。きっと聴衆の皆さんは「この曲は好きだな。」と感じてくださるはずです。
ひと口に「現代音楽」と言っても、いろいろなスタイルがあります。タンギー氏の新作は「新様式のコンテンポラリー」だと思います。それ以前の現代音楽とは、作曲様式に変化が感じられますね。

実は私は、音楽院時代から常に現代音楽に触れてきていて、タンギー氏だけでなく、ピエール・ブーレーズ、オリヴィエ・メシアンなど様々なスタイルに馴染んでいます。

Q 作曲は、レ・ヴァン・フランセがタンギー氏に創作を依頼しましたか?

はい。発案者はピアノのエリック・ル・サージュです。他のメンバーも全員、エリック・タンギーのことは何年も前から知っていました。フルートのエマニュエル・パユも彼と親交が深かったですし。私も彼の作品を演奏したことがありました。
日本でも、酒井健治さんに新作をお願いしたことがありますが、メンバーがすでに作曲家と交流があると自然に、曲をお願いする流れになります。作曲家のほうにも「このメンバーにはこんな曲がいいのではないかな。」とすでにイメージが湧いていることが多いのです。
ただ、初演がレ・ヴァン・フランセによるものであっても、その後楽曲が評価されて、多くの演奏家が関心を持って演奏してくれることが、とても大切な目的です!

Q ツアーの演目を決める際に、基準にすることは?

まずは「演奏したい!」と感じる曲を選んでいます。そのうえで、考慮すべきことを考えます。例えば、演奏時間の長短。聴衆がいま、それを聴きたいのかどうか。主催者からのアドバイスにも耳を傾けますよ。でもやはりいつでも、その曲を演奏したい、誰かに聴いてもらいたい、そういう思いこそが、最も確かな基準です。

Q レ・ヴァン・フランセのメンバーは、それぞれの楽器でいわば「フランス音楽のスペシャリスト」です。フランスの音楽の魅力、特色とは?

色彩感が溢れていることでしょうか。フランス音楽の最大の特徴と言える点は「健やかにユーモラス」であることかな。感情や感覚の繊細な表現に溢れています。でもその感情は、豊かでありながらも、ストレートに強く押し出されるわけではないのです。
例えばドイツ・ロマン派の音楽、ロシア音楽には、魂の苦悩の表現が大事な要素ですけれども、フランス人がそれを表す場合は、あえて「ちょっと抑え気味」ですよね。
そういった意味で、フランスと日本は近いところがあると思っています。フランスには若干の「引き」、謙虚さのような、そういう個性があります。見方によっては「礼儀」とか「愛嬌」でもある。そこが「味」です。

Q 次の質問は、レ・ヴァン・フランセの活動についてです。室内楽という分野で20年以上も活動を継続するという、その成功の鍵は?

鍵はいくつかあります。大きな熱意で臨んでいる事に加えて、どの楽器にも最高の演奏者が集まっていること。
そのそれぞれが、ソロ活動や、独自の音楽活動をしています。
レ・ヴァン・フランセで集う時、それぞれが、他の場所で培った新しい体験を持ってくるのです。それをまた、全員が分かち合う。分かち合うためにまた集まる、と言っても良いくらい。
ここで鍵は何かというと、そんな混合部隊をどうすれば上手にまとめられるかということ。メンバーがその都度持ち寄ってできるもの、それは膨大で素晴らしい経験の塊なのです。

ただ定期的に集まって、いつもの演目を繰り返すという平坦な活動ではなくて、私たちは常に新しさを求めたいのです。一緒に仕事したい、お互いを尊敬して「すごいじゃないか!」と新鮮な心で言い合いたい。究極の成功の「鍵」は、そこかも知れません。
仕事の場で仲間への尊敬、優れた成果や過程への感嘆を表すことは、とても大事です。
さらに、もっと基本的なことは友情。レ・ヴァン・フランセのメンバーはみな、私にとってはもはや仕事仲間を超えて友人です。とても長い付き合いになりましたね。

【後編】はこちらから


レ・ヴァン・フランセ

《公演情報》
スーパーヴィルトゥオーゾたちのドリーム・チーム!
至福のアンサンブルによる最高の音楽の贈り物
レ・ヴァン・フランセ
日時:2023年3月6日(月) 19:00開演
会場:東京オペラシティ コンサートホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/p2003/

《全国日程》
2023年3月4日(土) 豊田市コンサートホール
2023年3月5日(日) 千葉県文化会館
2023年3月6日(月) 東京オペラシティ コンサートホール
2023年3月7日(火) 文京シビックホール
2023年3月9日(木) 箕面市立メイプルホール
2023年3月11日(土) 神奈川県立音楽堂
2023年3月12日(日) 三鷹市芸術文化センター


◆レ・ヴァン・フランセのアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/lvf/
◆フランソワ・ルルーのアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/francoisleleux/
◆ポール・メイエのアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/paulmeyer/

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