2014/5/12

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インタビュー:ハンガリー国立フィルのゼネラル・ディレクター

ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団のゼネラル・ディレクターであるゲザ・コヴァーチさんのインタビューをお届けします。

ゲザ・コヴァーチ

 小林研一郎氏が40年前にブダぺスト国際コンクールで優勝したときから、彼をよくご存知だと思います。ゲザさんからみて、マエストロはどのような方でしょうか?
 「私もリスト音楽院で勉強していた時、あのコンクールをリアルタイムで体験しました。若い彼の指揮姿はそれだけで魅力的でしたが、それだけではなく、彼の情熱的な音楽作りには聴衆はもちろん、団員も、合唱団も虜にしてしまうものがあるのです。そのコンクールの約20年後にハンガリー国立フィルの楽団総裁に就任した時、ケンイチロウと一緒に仕事が出来たのは光栄でした。彼自身が心から音楽を楽しんでいるので、皆も一緒に楽しめるのです。こうして彼はクラッシック音楽界に新しい聴衆を沢山連れて来ました。こうした功労を讃えてハンガリー政府は数々の賞を授与したのです。」

 コチシュさんが音楽監督に就任して以来、楽団のメンバーも少し入れ替わったと聞いています。どのような変化をもたらしましたか?
 「小林氏は深い感情を表現して、感動と熱狂を与えます。チャイコフスキ-やドヴォルザーク、『カルミナ・ブラーナ』などロマンティックなレパートリーが得意です。細部まで徹底するために長々とリハーサルをすることを好まず、フィーリングを大切にします。例えて言うのならばF1選手のようです。車の運転には長けているけれど修理はしないという感じです。コチシュは正反対のタイプで『指揮者は音楽の僕(しもべ)であって、個人としての性格は重要ではない』と常日頃から言っています。リハーサルを重視し、細部まで掘り下げます。楽譜に書かれていることを大切にし、全ての音を響かせ、正確に再現しようとします。また、バルトーク等のスペシャリストでもあり、文献等を研究して新しい発掘をする学者肌です。現代作曲家の作品の世界初演や、今までハンガリーで上演されたことのないR・シュトラウスのオペラの数々を国内初演させたり、と新しいレパートリーが沢山増えました。」

 ゲザさんはハンガリー国立フィルのどのような点を誇りに思われますか?
 「伝統と革新的な性格を両立させている点です。1923年創立のこの楽団は現在104人の楽団員で構成されています。もともとハンガリーは弦楽器の達人を輩出する土壌があったのですが、この国立フィルでは30年来、管楽器奏者のレベルも弦と同じく高いレベルに引き上げてきました。私もリスト音楽院でピアノ、打楽器、合唱指揮を学び、その上で芸術マネージメントを勉強したので、楽団運営者の視点だけでなく音楽家として、このオケを発展させる手助けをして来られたと自負しております。来年は総裁就任20年周年を迎えますが、マエストロ コチシュとピアノの連弾をしたり、今まで培って来た豊富なコネクションで、一流のソリストや指揮者を招いたり、日本をはじめ、世界ツアーにも積極的に出掛けたりしています。10年前には59日間ものアメリカツアーを決行しましたが、団員が皆仲が良いので成功した挑戦的企画でした。日本では1967年に初めて訪日して以来、何度も公演を行っています。今後また日本の皆様と、より密接につながれたら、と思っています。」

中 東生(在スイス / 音楽ジャーナリスト)

インタビュー:ハンガリー国立フィル 音楽総監督・指揮 ゾルタン・コチシュ
https://www.japanarts.co.jp/news/p961/


輝く真珠! ドナウの名門
ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団
[公演日程]
6月23日(月) 19:00 サントリーホール
指揮:ゾルタン・コチシュ ピアノ:金子三勇士
6月26日(木) 19:00 サントリーホール
指揮:小林研一郎 ヴァイオリン:千住真理子
⇒ 公演の詳細はこちらから

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