2023/5/11

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チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団 10月来日! 音楽監督 パーヴォ・ヤルヴィ インタビュー Vol.2

チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団 10月来日!

チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団 音楽監督
パーヴォ・ヤルヴィ インタビュー Vol.2

私のミッションはチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団への評価をウィーン・フィル、ベルリン・フィルに匹敵する水準に引き上げることです

〜パーヴォ・ヤルヴィ

パーヴォ・ヤルヴィ

--トーンハレ管ではレコーディングも積極的に行っていますね。
監督に就任して4年。すでにメンデルスゾーン、チャイコフスキーの《交響曲全集》を完成しました。ブルックナーの交響曲も《第7、8、9番》の3曲を収録済み、J・アダムスやメシアンにも取り組んでいます。ベートーヴェンの『歌劇《フィデリオ》』も近々、ミヒャエル・シャーデ(テノール)をフロレスタン役に起用し制作する予定です。

--1906-1949年の長きにわたりトーンハレ管の音楽監督だったスイスの指揮者フォルクマール・アンドレーエはブルックナーのスペシャリストでしたし、1965-1972年に首席指揮者を務めたルドルフ・ケンぺとの《交響曲第8番》も長く名盤とされてきました。ただパーヴォさんは、フランクフルト(hr響)で《交響曲全集》を完成したばかりです。
hr響との全曲録音は、今も『良い仕事だ』と自負していますよ(笑)。しかしながら、トーンハレ管の素晴らしい残響と音色を得てブルックナー個人に限らず、音楽史上の最も偉大な記念碑(モニュメント)といえる最後の3曲を録音することには別の意義があります。全曲の再録音に発展するかどうかは他にも手がけたい作品が山と存在するなか、全くもって未定です。

--今秋の日本ツアーにはベートーヴェンの「第5番《運命》」、ブラームスの「第1番」と、1895年のトーンハレ開場記念演奏会(ブラームスが自作の《勝利の歌》、初代指揮者のフリードリヒ・ヘーガーがベートーヴェンの《第九》を振り分けた)ゆかりの作曲家の交響曲を携え、序曲もベートーヴェンの《献堂式》という凝った選曲です。パーヴォさんはDKPとの来日を通じ、歴史的情報に基づく解釈(HIP)のベートーヴェンを披露されてきましたし、トーンハレ管も1995-2014年に音楽監督・首席指揮者を務めたデイヴィッド・ジンマンとHIPを踏まえたベートーヴェンを究めてきました。
まずベートーヴェン。DKPとは9つの交響曲を繰り返し演奏し理解を深めてきましたが、とびきり有名な《第5》に限らず9曲すべて、古典としてきちんと再現するのは絶えず大きなチャレンジです。今回はより大編成、ロマンティックなサウンドのオーケストラに変わりますが、トーンハレ管ではジンマンさん長年のシリアスなアプローチを通じ、HIPも念頭に置いた上での演奏を可能にしています。ブラームスに関しても、私たちはフルトヴェングラー、カラヤンら〝ポスト・ワグネリアン〟(ワーグナー派以降)世代の指揮者の重厚なサウンドに浸り過ぎました。作曲者自身が《第1》を指揮した際の人数は40人、内声部の細かな動きや内面の細かな動きはもっと鮮明に聴こえていたはずです。聴衆が漠然と抱くブラームスの『重さ』は、間違ったバランスの産物です。現代の大きなホール、16型(第1ヴァイオリン16人)の大オーケストラでも本来、すべてのディテール(細部)が際立つべきで、私たちはその実現を目指しています。私の今回のミッションはベートーヴェンやブラームスの演奏を通じ、チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団がウィーン・フィル、ベルリン・フィルに匹敵する水準のオーケストラである実態を皆様へ、つぶさにお伝えすることです」

ブルース・リウ

--最後にソリスト、ブルース・リウさんについても一言、お願いします。
実際に共演するのは今回が初めてですが、すでに(録音された)演奏は聴き、気に入りました。ショパンやラフマニノフのピアノ協奏曲、とりわけ管弦楽パートは軽くみられがちですが、私にとっては非常に重要なレパートリーであり、常々、もっときちんと演奏されてしかるべきだと思っています。今回も、ご期待ください。

--ありがとうございました。

取材・翻訳=池田卓夫
音楽ジャーナリスト@いけたく本舗®︎
https://www.iketakuhonpo.com/

■パーヴォ・ヤルヴィ インタビュー Vol.1はこちら
https://www.japanarts.co.jp/news/p7871/



≪公演情報≫

パーヴォ・ヤルヴィ率いるスイスの名門オーケストラと最旬のソリスト ブルース・リウが紡ぎ出す壮麗なる響き!
パーヴォ・ヤルヴィ指揮 チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団
日時:2023年10月16日(月) 19:00/2023年10月18日(水) 19:00
会場:サントリーホール
出演:パーヴォ・ヤルヴィ(音楽監督)、ブルース・リウ(ピアノ)、チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団
https://www.japanarts.co.jp/concert/p2033/


◆パーヴォ・ヤルヴィのアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/paavojarvi/
◆チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団のアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/tonhalleorchesterzurich/
◆ブルース・リウのアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/bruceliu/

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