2020/12/9

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上原彩子 インタビュー「2022年デビュー20周年に向け3ヵ年計画邁進中! 彩子さんの愛と強さの秘密に迫る!」<連載:第2回>

上原彩子 2022年デビュー20周年に向け3ヵ年計画邁進中!
彩子さんの愛と強さの秘密に迫る!(第2回)

 上原彩子

ところで、彩子さんにとって2019年のモーツァルト×チャイコフスキーは、どのようなものだったのでしょうか。
モーツァルトは、この10年近く私にとって新たな分野として取り組んできた作曲家で、フォルテピアノなどを通して本当にたくさんのことを学ぶことができました。今まで、出せなかった音色をやっと出せるようになってきたり、新たな視点で楽譜を捉えることができるようになったり、やっぱり新しく勉強していくことは、音楽をやっている以上とても大切だと感じています。モーツァルト×チャイコフスキーでは、私が昔から培ってきたチャイコフスキーと、新たに開拓したモーツァルトの両方をお聞きいただけて、その今までの私の道のりを感じてもらえたかなと思います。

モーツァルトの選曲は、たまたまなのですが、小さい頃に弾いたことのある曲が多かったので、久しぶりに弾いてみて、昔とは全然ちがった世界で弾けることをとても嬉しく思いました。
とても特殊な状況下(※緊急事態宣言発令直前の2020年3月25日の演奏会でした。)でのコンサートでしたが、こんな時に聞きに来て下さる方は、本当に聞きたくて来てくれているのかなと有り難く感じ、また特に弾いている時お客様の気配をあまり感じなかったので、自分のために弾いている感覚で、いつもより集中していたかなと思いました。

そして、まだコロナ・ウィルスについての情報が少ない中、コンサートを開催して下さったジャパンアーツの皆様に本当に感謝の気持ちでいっぱいです。最近お会いした方々で、3/25のコンサートに来て下さった皆様から、「コンサートを聞いたお陰で、心安らかにコロナ禍を過ごせました」とよく言われて、少しは皆様のお役にたてたかなと嬉しかったです。 私は、人前でピアノを弾いている時でも、いつも自分が弾きたいから弾いているという感覚が強いので、果たして世の中の役に役に立っているかどうかあまり分からなくて、今回の様に実感できると少し安心します。

モーツァルト×チャイコフスキーが次回のショパン×ラフマニノフに影響を与えているところはありますか
曲の並べ方なども、全然違うので、あまり影響は感じられませんが、ショパンは私にとって高い壁だし、ラフマニノフの変奏曲も今年初めて弾く曲なので、このプログラムの方がより私にとって課題の多いものだと思います。その難しさを超越して、様々な感情がお客様に伝わる演奏ができれば嬉しいです。

上原彩子

そして2022年のコンチェルト2曲の演奏会について一番の挑戦だと思っているところを教えて下さい。
コンチェルト2曲弾くのはコンクール以来です。まずは、最後まで弾ききれる体力をつけておかないとと思います。曲は、2つとも私が心から愛する曲たちだし、長年弾いている分、自分なりの視点というのがあると思うので、それを感じてもらえると嬉しいです。

そして、今回の本命質問です! 最近の彩子さんの演奏は「何かが違う!」ともっぱらの評判です。最近、何かありましたか?ありましたね、ありましたでしょう?あったに違いない 、、)
えー、そうかなぁ???正直大きな変化はないんですが。。。
ただ、40歳も過ぎて、自分が求める音楽は確実に変わってきているかなと思います。前は、前進あるのみみたいなところがあったし、しっとりしている弾き方よりアグレッシブな弾き方の方が好きで、自分にもそれが合っていると思っていましたけど、最近はそういうものを自分に求めなくなったと思います。そういう弾き方には、もう身体がついていかないところもありますし。それに、40歳というと、なんだか大人な気がしてきて、いい加減大人になろうって最近思う時がありますね。それから、自分が音楽で感じることは深くなってきているからこそ、毎回そこに自分を持っていくのに苦労します。また、フォルテピアノをやってみて、色々勉強した成果がやっと身になって出てきたかなと思います。一番嬉しいのは、弱い音に対しての感覚が鋭くなって、弱い音のバリエーションが増えたこと、弱くてもよく通る音を出せるようになったことです。

そしてとうとう最後の質問です。音楽を愛するとは、どういうことだと思いますか?
私達は、基本的に誰かが作曲してくれた曲を弾くので、その曲、作曲家と誠実に正面から向き合っていくことだと思います。だから、音楽を愛する=弾いてる曲の作曲家を愛することかなと思います。
そして、もう一つは、演奏家は時間芸術なので、常に流れ去っていき、新しいものが生まれてくるそのプロセスを愛していかなければいけないと思います。だから、一つのところに留まっていられないということですね。

上原彩子
(取材・構成:ジャパン・アーツ)

いつでも、自分を新しくするとは、体力も気力も時間も必要とし、心を澄ませて、自分に誠実に向き合うことは本当に大変なことですが、自分が感じる音楽の深みをどうにかしようと果敢に挑戦、日々格闘している、そして、そのプロセスを愛している彩子さんの音楽だからこそ、人の心に共振するのだと思いました。彩子さん、有難うございました!1月のショパン×ラフマニノフ、心から楽しみです!

第1回はこちらから


2022年デビュー20周年に向けて Vol. 1
上原彩子 ピアノ・リサイタル
2020年3月25日公演
二人の天才音楽家 モーツァルト&チャイコフスキー シナジーを生み出す名曲プログラム
https://www.japanarts.co.jp/concert/p795/

2022年デビュー20周年に向けて Vol. 2
上原彩子 ピアノ・リサイタル
2021年1月13日公演
鍵盤の音楽史に永遠にその名を刻む2人のピアニスト・作曲家へのオマージュ
ショパン & ラフマニノフの世界
https://www.japanarts.co.jp/concert/p878/

2022年デビュー20周年に向けて Vol. 3
上原彩子 ピアノ・リサイタル
2022年2月コンチェルト2曲を予定

上原彩子のアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/ayakouehara/

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