2020/12/8

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上原彩子 インタビュー「2022年デビュー20周年に向け3ヵ年計画邁進中! 彩子さんの愛と強さの秘密に迫る!」<連載:第1回>

上原彩子 2022年デビュー20周年に向け3ヵ年計画邁進中!
彩子さんの愛と強さの秘密に迫る!(第1回)

 女性として、日本人としてチャイコフスキー国際コンクールに初優勝した上原彩子、3人のお嬢さんの母でもあり、「自分に強いものがないと響かない」「大切なのは音楽をし続けること、未知なるものに挑戦すること」と自分の言葉で音楽を語ることができるアーテイストとしても知られています。
そして、最近の彩子さんは「何か違う!」とジャパン・アーツの社内で話題沸騰中!
彩子さんに何があったのか、もはや凄み(?)とも言える、その深化の秘密はどこに!

今、まさに2022年のデビュー20周年に向けた3年連続のリサイタル・シリーズを邁進中の彩子さん、ジャパン・アーツのスタッフが彩子さんの今にぐぐっと迫ってみました。

上原彩子

ロシア人のゴルノスタエヴァ先生に長年師事され、チャイコフスキー・コンクールでの優勝とロシア音楽と縁の深かった彩子さん、ロシア音楽は、デビュー20周年を考える上でも外せなかったということになるでしょうか。
今まで20年近くコンサートをさせていただいてきて、やはり私のレパートリーの核となってきたのはロシア音楽だったと思います。ここ10年ぐらいは、自分の幅を広げるために他の時代や国の音楽を積極的に勉強してきましたが、それでもロシア音楽を演奏する時が、音楽的には一番迷いなく弾けます。

デビュー20周年の3カ年計画に、チャイコフスキーに加えて、モーツァルト、ショパン、ラフマニノフを選んだ理由を教えてもらえますか?
モーツァルトは多分、私が30代で一番頑張った作曲家。モーツァルトを勉強することで、古楽器など、色々なことに興味が広がり、音楽的な視野も随分広がりました。ラフマニノフは、チャイコフスキーと同じぐらい、またソロ曲に関してはチャイコフスキーよりも多く弾いてきています。ショパンは、私にとって、一生の大きな課題、壁みたいな作曲家。「24のプレリュード」は、ショパンの中でも何度となく弾いてきている曲ですが、多分これを今弾くことで、自分の課題がどのぐらいクリアされてきているかを知ることができるかなと思います。

彩子さんにとっての課題、ショパンの難しさについて、もう少し聞かせてもらえますか?
ショパンは、ピアノの鍵盤に対する感覚が、きっと他の作曲家と全く違って独特で、その繊細な指や鍵盤の扱い方、そこから生まれる響きの繊細さを習得するのは本当に難しいと思います。後世の作曲家にあれだけ大きな影響を与えた人なのに、こんなにも他の人と違うっていうのが、天才だなと感じます。また、自由でなければいけないのに、ショパンの枠の中に必ずいなければいけなくて、そこのバランス感覚が私にはとても難しいです。

そんな中、ショパンのどんなところが一番自分にフィットすると思います?
残念ながらフィットしておりません。。。

ならば、そこは違う!と思うところがあったりして
いやー、ショパンには文句言えないけど。。(そうですよね・・・)

上原彩子

ショパンを弾いている時はどのような感じなのでしょう。
自分の欠点が全部浮き彫りになる感じです。また、その日の気分、落ち着きがない日、落ち込んでいる自分など、そんなものが、全部ショパンに見透かされてしまう気がします。ショパンは、ピアノのレッスンもしていたから、もし私が彼の生徒だったら、笑われて終わりになってしまうのかなと、時々想像します。モーツァルトもそういう部分があるかなと思いますが。誤魔化しがきかない感じかな。

そんなショパンと組み合わせてみたラフマニノフは、彩子さんにとってどのような作曲家でしょうか。
ラフマニノフは、会ってみたかった作曲家の一人です。一見怖そうだけど、本当はとても温かい人だったのだろうなと思います。暗くて深いところが大好きですが、それがいつも凶暴な暗さではなくて包み込んでくれるような暗さなところが好きです。また、どれだけでも甘く弾こうと思えば弾けますが、それよりもロマンティックな感情を内側に秘めつつ弾く方が、よりラフマニノフに近いのかなと最近は感じています。

どんなところが一番自分にフィットしますか?
もう少し手が大きければフィットするんですが、、、なかなか大変です。でも、その大変さを、弾きたい気持ちが上回っているのかなと思います。音楽的には、どの曲でも深い呼吸で弾き進めることができるのがとても心地よく感じています。

そんなラフマニノフでも、そこはちょっと違うと思うところはありますか?
たまに、ちょっと音多すぎじゃない?って思います。そこまで複雑じゃなきゃいけない意図は何だろうって、聞いてみたくなります。

ラフマニノフを深い呼吸で弾き進めるって、どんな感じなのでしょう
本当は、弾いていると心が震えるような瞬間がたくさんあるけど、それに溺れないようにしなければと自制しながら弾く感じです。ラフマニノフは、素敵なメロディーの後ろにたくさんの対旋律やハーモニーが隠れていて、弾く人は、ちゃんとそれを感じながら弾かなきゃと思っているので、実際にとても忙しいというのも、溺れないようにしなくては、と思う理由の一つです。

ショパン×ラフマニノフとは?
ピアノという楽器をそれぞれの感覚で極めた、ピアノのスペシャリスト。もちろん、曲によってはオーケストラ的な響きも聞こえますが、それでもピアノ独自、ピアノならではの響きを大切に弾きたいと思います。二人の共通点は、貴族的な趣味の良さ。(音楽の上で。)二人とも、どちらかというと大声で語る音楽ではなく、抑制され、吟味された声で語る音楽な感じがします。二人の違いは、ショパンがテノールなら、ラフマニノフはバス。それに伴うスケール感の違いも当然あります。そして、国の違い。ショパンには、ポーランドだけでなく、絶対フランスの影響もあって、これがもしショパンがウィーンに滞在したままだったらどんな音楽だったのだろうと思いを巡らせると、とても面白いです。きっと演奏家も、住んでいる国、国籍の国の影響は、知らない間に受けているのでしょうね。

この組み合わせ、例えば何色?
青系の色。

ここに「×彩子」が加わると色も変わります?
ちょっと暗めな感じになるかな?

今回の演奏会のあと、電車にのって帰る(車での徒歩でもいいのですが、日常に帰っていく)お客さんの心はどんなだといいなと思いますか
ピアノって、素敵な楽器だなと思っていてもらいたいです。あと、ショパンの主題の変奏曲の主題はご存知の通りまるで葬送のような音楽ですが、その同じ主題が歓喜にまで最後昇華されていくので、それが心に残っていてくれたら嬉しいです。

演奏会のあと、自分がどのように変化していたらいいなと思いますか?
ショパンに対して私が感じている壁が、少しでも低くなってくれたらいいなと思っています。あと、このシリーズの第3段はコンチェルト2曲の予定ですが、それとは別に、このロシアの作曲家×◯◯というプログラムに、私が引き続き取り組んでいきたいと思えたらいいなと思います。

上原彩子
(取材・構成:ジャパン・アーツ)

第2回はこちらから


2022年デビュー20周年に向けて Vol. 1
上原彩子 ピアノ・リサイタル
2020年3月25日公演
二人の天才音楽家 モーツァルト&チャイコフスキー シナジーを生み出す名曲プログラム
https://www.japanarts.co.jp/concert/p795/

2022年デビュー20周年に向けて Vol. 2
上原彩子 ピアノ・リサイタル
2021年1月13日公演
鍵盤の音楽史に永遠にその名を刻む2人のピアニスト・作曲家へのオマージュ
ショパン & ラフマニノフの世界
https://www.japanarts.co.jp/concert/p878/

2022年デビュー20周年に向けて Vol. 3
上原彩子 ピアノ・リサイタル
2022年2月コンチェルト2曲を予定

上原彩子のアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/ayakouehara/

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