2023/10/10

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【海外公演レポート】 チェコ・フィル シーズン開幕 in プラハ

セミヨン・ビシュコフ指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
本拠地プラハでパブロ・フェランデスを迎えたドヴォルザーク:チェロ協奏曲&交響曲第7番を演奏!これぞ“チェコ・フィルのドヴォルザーク”!

セミヨン・ビシュコフ指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

ヴルタヴァ川のほとりにそびえ立ち、プラハの街とともに100年以上の歩みの歴史を誇る芸術劇場ルドルフィヌム。
そこを本拠地とするチェコ・フィルハーモニー管弦楽団が、今年9月27日の2023/2024シーズン開幕コンサートを皮切りに“オール・ドヴォルザーク”作品のコンサートを開催しています。

9月27日~29日はソリストにオーガスティン・ハーデリッヒを迎えたドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲と交響曲のプログラムを行い、全公演完売の人気ぶり。
10月4日~6日はスペインの気鋭のチェリスト、パブロ・フェランデスを迎えたチェロ協奏曲と交響曲第7番のプログラムで、こちらも全公演満場の観客で埋め尽くされました。
このあとは10月11日、巨匠アンドラーシュ・シフを迎え、ピアノ協奏曲と「新世界より」のプログラムを予定します(完売)。

さてパブロ・フェランデス出演の最終回である10月6日のコンサート。秋の深まる夕暮れのプラハの街から、老若男女、盛装の観客が続々と集まり、開演前から期待と熱気の入り混じる空気が漂います。

セミヨン・ビシュコフ指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

冒頭はドヴォルザークの序曲「オテロ」。音楽監督であり首席指揮者のセミョン・ビシュコフが登場すると、「待ってました!」とばかりに会場の拍手が一層高まりました。
ドヴォルザークが渡米直前に作曲したこの序曲は、壮大さが広がる中に、強い郷愁を感じさせる特徴的なメロディが登場します。
チェコ・フィルで活躍する唯一の日本人団員・フルート奏者の佐藤直紀氏が「特にドヴォルザークの演奏は、チェコ・フィルならではのDNAが色濃く伝わっている」と語るように、作曲家ゆかりの土地に根づく楽団であることを強く感じさせる、チェコ“こころの音楽”に揺さぶられる迫力の演奏。
若きコンサートマスター、ヤン・ムラチェク氏がひときわ生き生きと、楽しみながら団員を牽引する姿も印象的です。早くも序曲終了時点で、大きな熱い拍手が会場を包みました。

次に、ドヴォルザークのチェロ協奏曲。今回セミヨン・ビシュコフとは初共演というパブロ・フェランデスは、スペイン出身の若手チェリストで、32歳ながら「21世紀のカザルス」とも目される実力派です。
第1楽章で最初のソロの一音を出す一拍前から、強烈な存在感で空気を変え、観客の意識を一極集中させたフェランデスは、そのダイナミクスに富んだメロディを、細部まで一音入魂で歌い上げ、満場の客席を圧倒しました。心を掴まれた聴衆は総立ちで熱い喝采を贈り、会場は強い高揚感に包まれました。

セミヨン・ビシュコフ指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

最後に演奏されたのは交響曲第7番。
首席指揮者ビシュコフが「2019年の就任当時は“彼らのドヴォルザーク”であったのが、今は“私たちのドヴォルザーク”になりました」と語るように、マエストロを団員全員が心から敬愛し、一体となってドヴォルザークの音楽が頂点に極められる“神業”が繰り広げられる「これぞチェコ・フィルのドヴォルザーク!」に、大歓声と拍手が沸きあがりました。
「音楽の都」と称されるだけに音楽家が多いプラハでは、欧州の他の楽団とひと味違い、地元の音楽家が特に多く在籍することで特別なアイデンティティを受け継いでいるといわれます。
特に、チェコ・フィル創立時に自ら指揮をしたというドヴォルザークは、楽団にとって最も大切な作曲家。そのDNAを受け継ぐチェコ・フィルによるドヴォルザークは、この楽団でしか味わえない独自のサウンド、唯一無二の魅力にあふれています。

ルドルフィヌム内にある“ドヴォルザーク・ホール”と名付けられた歴史ある劇場で、かつて彼自身が指揮をしたチェコ・フィルの演奏を聴くことは、プラハの観客にとっても、その土地と音楽の歴史に想いを馳せる、大切な文化であることでしょう。
創立128年、伝統ある名門楽団がいかにプラハの地に根づき、人々に愛されているか、ひしひしと伝わる名コンサートでした。


★チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の“ドヴォルザーク・フェスティバル”
2024年は、チェコを代表する作曲家、ドヴォルザークの没後120年、ヤナーチェクの生誕170年、スメタナの生誕200年を同時に迎える”チェコ音楽年”。
特にドヴォルザークは、上述のとおり1896年チェコ・フィルの創立コンサートを指揮したことでも知られる、楽団にとって最も特別な作曲家の一人です。
この節目を記念し、2023/2024シーズン、セミヨン・ビシュコフとチェコ・フィルは、ドヴォルザーク作品の録音を進めるとともに、世界各国の主要都市でオール・ドヴォルザークの公演を予定。本拠地プラハでのシーズン開幕公演を皮切りに、韓国、日本、その後欧米の主要都市でオール・ドヴォルザークのコンサートツアーを行います。
今月末に迫る全国7公演オール・ドヴォルザークの日本ツアー、どうぞご期待ください!

▼ 音楽の都プラハの美しい景色と芸術劇場ルドルフィヌムの映像をぜひご覧ください。▼


《公演情報》
セミヨン・ビシュコフ指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団(東京)
新たな黄金時代を迎えたビシュコフ&チェコ・フィル
第一級のソリストたちと共に贈るオール・ドヴォルザーク・プログラム!

セミヨン・ビシュコフ指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 (東京)
日時:
2023年10月29日(日) 14:00 [パブロ・フェランデス出演(チェロ)]
2023年10月31日(火) 19:00 [藤田真央出演(ピアノ)]
2023年11月1日(水) 19:00 [ギル・シャハム出演(ヴァイオリン)]
会場:サントリーホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/p2039/
音楽の都プラハの景色と

セミヨン・ビシュコフ指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 (横浜)
ビシュコフとチェコ・フィルの黄金コンビが贈るドヴォルザークの第8番&「新世界」
セミヨン・ビシュコフ指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 (横浜)
日時:2023年11月4日(土) 14:00
会場:横浜みなとみらいホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/p2040/


◆セミヨン・ビシュコフのアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/semyonbychkov/
◆チェコ・フィルハーモニー管弦楽団のアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/czechphil/
◆藤田真央のアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/maofujita/

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