2023/5/2

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“最強のコンビ”上原彩子と松田華音 デュオ・リサイタルの聴きどころをご紹介!

 まもなく6月7日(水)にサントリーホールで行われる二人による注目の「ラフマニノフ ピアノ・デュオ・リサイタル」。
 音楽作家・ひのまどかさんによるこのリサイタルの聴きどころ、二人に共通する点やピアニズムなど興味深いお話をご紹介します。

上原彩子&松田華音

ラフマニノフのピアニズムを継承した“最強のコンビ”
上原彩子と松田華音 ソロとデュオでラフマニノフの全貌に迫る!

ひのまどか(音楽作家)

〝最強のコンビ〟とは、上原と松田が持つ圧倒的な音量や超絶技巧だけを意味しているのではない。二人共に継承したラフマニノフのピアニズムの真髄、憂いを帯びた音の響き、長大なフレーズの表情豊かな歌わせ方、ロシアの大地を思わせる雄大なスケール感、切なさ、甘さ、郷愁等々、ラフマニノフの音楽の多彩な奏法も意味している。
 これらを二人に伝授したのは、名ピアニストで名教師の誉れ高いヴェラ・ゴルノスタエヴァ(上原)、エレーナ・イワノーワ、エリソ・ヴィルサラーゼ(松田)の面々。言わずと知れたロシア最高の音楽家たちだ。師たちは、傑出した才能を見せる愛弟子に惜しみなくラフマニノフのピアニズムを伝授し、二人はそれを正しく受け継いだ。その間繰り返し厳しく注意されたのが「ラフマニノフの音には彼の世界観が全て詰まっているのだから、絶対に作為的なことや誇張された表現をしてはいけない!」だったと、二人は口を揃えて言う。
 二人には共通点がいくつもある。性格は、芯が強く、純粋で素直。だからこそ貴重な教えを真っ直ぐ受け取り、我が物に出来た。身体的には共に小柄で華奢、手も小さい。それにも拘らず、巨体・巨手のラフマニノフが編み出した超絶技巧を、並外れた練習量と指使いの工夫で10代の内にマスターし、この先はラフマニノフの世界観をいかに魅力的に聴き手に伝えるかに全力を注いでいる。
 今回のプログラムは、ラフマニノフの20代から最晩年までの傑作をソロとデュオで交互に配し、ラフマニノフの全貌を俯瞰出来るようになっている。
 ソロでは、松田は〈リラの花〉〈赤ずきんちゃんと狼〉で聴き手のイメージを喚起し、分厚い響きと高度な技巧を盛り込んだ〈楽興の時〉 第6曲で締める。
 上原は〈13の前奏曲〉から、ラフマニノフの重要なモチーフであるロシアの鐘の響きを表現した第10曲をメインに3曲。第10曲は最も好きな作品だという。
 デュオでは、交響曲並みの大曲を2曲。26歳の作で、テクニック面でも体力面でも超難曲の〈2台のピアノのための組曲 第2番〉と、最晩年67歳の作で自ら〝最高傑作〟と呼ぶ〈交響的舞曲〉(2台ピアノ版)。デュオについて二人は「1台でも分厚いラフマニノフの音が2台になると大音響になる場面が多々ありますが、それだけ表現の幅もスケール感も増すところが、デュオの最大の魅力だと思います」「超絶技巧の応酬も満載で、スリリングなシーンも楽しんで頂けます」と語る。
 深く豊かにピアノを歌わせ、超絶技巧で息を呑ませ、華やかに、詩的に、ダイナミックにラフマニノフの世界を展開する名手二人の〝最強の〟演奏をぜひ、ご堪能下さい。

上原彩子&松田華音
ロシアンピアニズムを継承する本格派2人の響演!
上原彩子&松田華音 ラフマニノフ ピアノ・デュオ・リサイタル
日時:2023年6月7日(水) 19:00
会場:サントリーホール
出演:上原彩子、松田華音(ピアノ)
https://www.japanarts.co.jp/concert/p2021/


◆上原彩子のアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/ayakouehara/
◆松田華音のアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/kanonmatsuda/

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