2022/11/24

ニュース

  • Facebookでシェア
  • Twitterでツイート
  • noteで書く

レイ・チェン来日記者懇親会レポート~2022年11月21日 在日オーストラリア大使館にて


台湾で生まれ、15歳までオーストラリアで暮らしたレイ・チェン。
今回の来日にあたり、在日オーストラリア大使館様にご協力いただき、記者懇親会を開催しました。
初めに、駐日オーストラリア大使館の首席公使クレア・エリアス様より、温かな歓迎のお言葉をいただきました。
招聘元ジャパン・アーツ代表がレイ・チェンを紹介したあとは、レイからゲストの皆さまへ、生き生きとスピーチをしました。

まず、私がなぜ音楽に対して情熱を持つようになったか。
なぜ音楽家になりたいと思ったか、をお話します。

スズキ・メソードでヴァイオリンを学んでいた8歳の時に長野五輪に招聘され、皆で演奏したことが「プロの演奏家になりたい!」と思ったきっかけです。
ホストファミリーの家に滞在し、日本の食事をして大好きになり、多くの人と出逢い、文化と芸術に触れることで、大きな感動を得ることができました。
振り返ると、いつも日本とつながってると感じます。
日本に戻ってくることが毎回嬉しく、皆さまと音楽を分かち合いたいと思います。

スピーチのあとは、ヴァイオリンの演奏。
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番から「プレリュード」と、オーストラリアの第二の国家として親しまれている民謡“Walzing Matilda”を披露しました。
※曲名をクリックすると演奏動画がご覧いただけます。

演奏のあとは、質疑応答です。

― 日本財団から貸与されている1714年製ストラディヴァリウス「ドルフィン」で日本にて初のリサイタルとなります。

新しい楽器というパートナーを得ました。楽器は人と人との関係と同じで、それぞれ個性があります。各パートナーと出会うことは、自分自身のことも発見をしていくという過程があります。
このようなパートナーシップは経験を積んでいくと得ることがたくさんありますが、そうでないときもあります。常にオープンでいて、色々なことに接していくことが大切と思います。新しいものを学んでいくことが自分自身の成長に繋がっていきます。

― 弾いていて、どう感じますか?

今まで私が演奏してきた楽器の中で、最も個性の強い楽器です。
自分が何かしようとすると抵抗するような、反面、寄り添ってくれる感覚があります。それは今までない経験で、慣れるのに時間がかかると思いました。友人やパートナーと旅をしているのと同じ感覚です。この緊張感が高い仲だと、お互いをよく知ることができます。例えば、転んだ時にどこで助けてくれるか、などですね。
この楽器は、自分の腕を証明してみろ、と語りかけてくれるような楽器です。そぐわない奏者はだめだぞ!という様な感覚を得た、初めての楽器。そしてとても音が力強いです。

― 11月30日のリサイタルプログラムについてお聞かせください。

前半はベートーヴェン(ヴァイオリン・ソナタ第8番)とストラヴィンスキー(バレエ音楽「妖精の口づけ」よりディヴェルティメント)。二人の作曲家はピアニストでしたので、ピアノが主動になっています。古典的な様式です。
後半はバロック(バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番)、ロマン派(ブラームス:ハンガリー舞曲第7番と第17番)、サラサーテのツィゴイネルワイゼン、とヴァイオリンが主動の作品がならびます。前後半で対比させています。
コントラストを描き、異なる様な音楽を合わせることが面白いのではないかな。いつも興味深い音の世界を生み出したいです。

― 15歳までオーストラリアで生活をされました。国、人、風土は音楽家/人として、どの様な影響を与えたでしょうか。

オーストラリアが私にもたらしてくれたものは、非常に幅広く、オープンに物事を考えるということです。とても開けた国で、雄大な風景で空間がたくさんあります。自然と頭の中にも空間、つまり余裕ができるのです。それは台湾の様に一つの場所にすべてが折り重なるように揃っているところと比較すると、正反対の環境です。
空間がある世界で子供が育つということは、子供には無意識だけれども、創造性が生まれるのではないかと思います。
両親は私に規律正しさを教えてくれましたが、国は自由を与えてくれました。オーストラリアは多文化的な国ですが、私が育ったブリスベンは白人コミュニティ。学校にアジア人は二人だけでした。そうなるといつも考えるのは「自分は何だろう」「なぜここにいるのだろうか」ということ。若い時からその様に問いかけて、答えを見出さなければいけないことを経験すると、客観性というものが生まれてきますし、「なぜ?」と問うことが普通になってきます。 広い風景と、他の人とは違う、ということが自分を形成した要因になっているのではないかと思います。

質疑応答のあとは写真撮影をし、大使館の素敵なお庭でゲストのみなさんと歓談を楽しみ、和やかなひとときを過ごしました。


レイ・チェン
《公演情報》
時代の寵児 待望の再来日実現!
レイ・チェン ヴァイオリン・リサイタル 2022
日程:2022年11月30日(水) 19:00開演
会場:東京オペラシティ コンサートホール
出演:レイ・チェン(ヴァイオリン)、フリオ・エリザルデ(ピアノ)
https://www.japanarts.co.jp/concert/p974/

ページ上部へ