2025/7/16

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インタビュー:巨匠ビシュコフが認める若手最注目株! 今秋チェコ・フィルと日本で共演するアナスタシア・コベキナへインタビュー

2019年にチャイコフスキー国際コンクールで第3位入賞し、世界のスターダムを駆けあがったチェリストのアナスタシア・コベキナ。作曲家のウラディーミル・コベキンを父に持ち、4歳からチェロを始めました。フィガロ紙に「比類なき音楽家」と評され、ビシュコフ、P.ヤルヴィ、フルシャら巨匠指揮者陣にもその実力を高く評価されている、今最も注目すべき若手チェリストです。
チャーミングな笑顔と人柄も魅力的!
今年10月に来日し、ビシュコフ指揮チェコ・フィルと東京・所沢でドヴォルザークのチェロ協奏曲を披露するコベキナに、インタビューを行いました。


取材・文/安田真子

ーコベキナさんはソロ・チェリストとして国際的に活躍されていますが、日本に初めて来たのはいつでしたか。また、どのような思い出がありますか。

コベキナ(以下K):2015年にスイスの小澤征爾さんの国際アカデミーの生徒として来たのが初めてです。日本に行くのはずっと夢で、ちょうど自分の誕生日に飛行機に乗って、東京に到着したことを覚えています。本当に素敵でした。実は昨年も、東京で休暇を過ごしたんですよ。

ー今年10月、コベキナさんはチェコ・フィルハーモニー管弦楽団とともに来日し、ドヴォルザークのチェロ協奏曲を演奏します。
昨年の夏にプラハで開かれたドヴォルザーク音楽祭のオープニングやロンドンのプロムス音楽祭で、チェコ・フィルとすでにこの作品を演奏していますが、初共演はいかがでしたか。


2024年のBBCプロムスでフルシャ指揮チェコ・フィルと共演

K:とても緊張しました。ドヴォルザークはチェコの人々の文化であり、言語ですから。ドヴォルザーク自身も指揮していたプラハのホール『ルドルフィヌム』で行われた、初めてのリハーサルのことを覚えています。チェコ・フィルと大好きなドヴォルザークの協奏曲を演奏するのは夢のようで、感慨深かったです。
ドヴォルザーク音楽祭では、チェコの人々がドヴォルザークの遺産をいかに大切にし、文化に属し、誇りを持っているかを感じました。プロムスで演奏した際は、まるで5000人の観客が音楽への情熱で満たされていくようでした。これは、ホールでこそ感じられる美しい繋がりだと思います。音楽を通して、日本の方々にもこの思いを感じてもらえたら嬉しいです。

ーチェコ・フィル独自のサウンドや音楽づくりについて、どのように感じていますか。

K:チェコ・フィルのサウンドは、私たちをあたたかく包み込んでくれます。素晴らしいプロフェッショナル集団であるだけではなく、寛大であり、音楽への愛があります。さらに、一人ひとりが魂や個性の一部を演奏に注ぎ込んでいることが伝わってきます。だからこそ、唯一無二のサウンドを有しているのでしょう。
ドヴォルザークを演奏する時、チェコ・フィルは母国語を話すかのように、造作なくごく自然に演奏します。私はいつも、彼らが奏でるメロディーに耳を澄ませ、インスピレーションを得て、同じ精神を身につけようと努めます。そこには受け取ると同時に投げかけるコラボレーションがあります。

ー2月にも共演したチェコ・フィル常任指揮者セミヨン・ビシュコフさんとは、どのようなコラボレーションが生まれていますか。

K:前回共演したとき「ぜひまた会って、ドヴォルザークの協奏曲を一緒に練習しましょう」と強く望んでくださったので、夏のうちにお会いする予定です。本番2日前に集まるのが普通のところ、2か月前から準備をし、個人的なアプローチをしたうえで演奏に臨んでくださるのは特別なことだと思い、とても楽しみにしています。
現代は忙しく、日々多くのコンサートがあります。でも、彼にとって音楽は個人的で大切なものなのだと感じます。ハイドンの協奏曲で共演した時にも、彼がどれほどオーケストラを大切に思っているかがその姿に表れていました。マエストロ・ビシュコフにとって、すべての音符は大きな意味を持ち、音楽を伝えるユニークな手段になるのです。

ードヴォルザークのチェロ協奏曲は、チェリストにとって重要なレパートリーのひとつです。コベキナさんにとって、どのような作品なのかを教えていただけますか。


パーヴォ・ヤルヴィ指揮チューリッヒ・トーンハレ管とのドヴォルザーク:チェロ協奏曲の共演

K:私にとってこの協奏曲は希望と愛、そして誰もが共感できる感情に満ちています。どのような人にも、ごくシンプルで直接的な方法で語りかけることができる曲で、それこそがドヴォルザークの音楽の魔法だと思います。時代を超越していて、21世紀の私たちにも共感できる作品なのです。
また、シンフォニックな作品なので、オーケストラの音を最も輝かしいかたちで体験する絶好の機会でもあります。日本の素晴らしいホールでどのように響くのか、体験するのが待ちきれないような部分がたくさんあります!

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