2014/4/21

ニュース

  • Facebookでシェア
  • Twitterでツイート
  • noteで書く

「ヴォツェック」で主役を歌ったゲオルク・ニグルが後輩にエール!

東京・新国立劇場で4月に上演されたオペラ『ヴォツェック』(ベルク作曲)で題名役を演じているゲオルク・ニグル。ウィーン、ベルリン、ミラノ、モスクワなど、世界中でこの役を歌って高い評価を得ているバリトン歌手は、かってウィーン少年合唱団(WSK)に在籍し、ソリストとして日本ツアーにも参加している。ちょうど今年度のウィーン少年合唱団日本公演スタートに際し、後輩たちにエールを送ってもらった。

ウィーン少年合唱団

<右:合唱団所属の頃>

Q:『ヴォツェック』の成功、おめでとうございます。WSK時代に日本ツアーに参加されたと聞いていますが。
ニグル(以下N:)1983年と86年のツアーで来日していて、それぞれ数ヵ月間にわたって沖縄から北海道まで、各地をくまなく訪れているので、日本のことは良く知っていると思っています(笑)。今回、30年ぶりに日本を訪れるチャンスがあり、懐かしい気持ちでいっぱいです。

Q:まもなく日本でWSKツアーがスタートします。アドヴァイスや励ましなど、後輩たちにエールを送ってくださいますか。
N:じつは現在も彼らといっしょにコンサートで共演しているのですよ。5年前からウィーン・コンツェルトハウスでバッハの「カンタータ」のシリーズを継続していて、WSKにも出演してもらっているのです。
 そこで共演する際に彼らに、いつも言っていることは、「音楽をするよろこび、歌うよろこびを表現すること。その気持ちを客席にしっかり伝えること」です。ステージで歌うということは、ごく少数の人間にしか与えられない特権であり、たいへん恵まれた環境に居るわけです。だから、その意味をよく自覚し、責任を果たすことが重要です。ステージでは怠惰で無気力なルーティンは許されることではありません。

Q;なかなか厳しいご意見ですね。
N:つねにプロフェショナルとしての厳しさが要求されるのは大人も子供も変わりはありません。日頃からこのような意識を持ち、規律を守っていれば、かならず良い結果に繋がりますから、今回のツアーでも後輩たちの成功を希望しています。

Q;ニグルさんは、とくに現代作品の分野で評価が高く、新作オペラを初演されることも多いですが、そのための非常に高度な歌唱技術、困難な譜読みなどに関して、WSKで受けられた教育はどのように関連しているのでしょう。
N:私の歌手としての基礎的な能力はすべてWSK時代に培われたものであり、その意味でWSKにはたいへん感謝しています。4歳の時にWSKを聞いて歌手になる決心をしたので、毎日の勉強が楽しかったし、そのための努力は惜しみませんでした。それと歌うときの集中力ですね。またWSK時代からトータルで4000回ぐらいステージを務めているので、本番に対してナーヴァスになることが、まったく無いのも大きな利点ですね。

Q:30年ぶりの日本は、どんな印象でしょう。
N:今回は、リハーサルに追われていて新たな見聞はそれほど多くないですが、東京は以前にも増して急速な近代化の渦中にあることがわかります。しかし、元来の素晴らしい伝統文化を残しておいてほしいし、また日本だったらそのことは可能だと信じています。

山崎睦(音楽ジャーナリスト ウィーン在住)

————————————————

Canon Presents
ウィーン少年合唱団東京公演日程

5月5日(月・祝) 14:00 サントリーホール [Aプロ]
5月6日(火・休) 14:00 サントリーホール [Bプロ]
5月21日(水) 14:00 サントリーホール [Aプロ]
5月31日(土) 14:00 東京オペラシティ コンサートホール [Bプロ]
6月13日(金) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール [Aプロ]
6月14日(土) 14:00 東京オペラシティ コンサートホール [Bプロ]
6月15日(日) 14:00 東京オペラシティ コンサートホール [Aプロ]

その他の公演日程・詳細はこちらから

ページ上部へ