2025/4/25
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【レポート】住友生命ウェルビーイングコンサート ウィーン少年合唱団2025年 来日記者会見
今年も春風と共に天使の歌声を届けに来てくれたウィーン少年合唱団。2025年は、“ワルツ王”ヨハン・シュトラウス2世の生誕200年でもあり、合唱団にとっては1955年の初来日から70周年を迎える特別な年です。日本公演の封切りを目前に控え、4月24日午後、東京オペラシティ リサイタルホールで来日記者会見を開催しました。
登壇者は、住友生命保険相互会社 取締役 代表執行役副社長の角英幸氏、オーストリア駐日大使のミヒャエル・レンディ氏、ウィーン少年合唱団団長のエーリッヒ・アルトホルト氏、ウィーン少年合唱団モーツァルト組カペルマイスターのマニエル・フーバー氏、ジャパン・アーツ代表取締役社長の二瓶純一、そしてモーツァルト組の皆さん。
はじめに、招聘元のジャパン・アーツ代表取締役社長の二瓶純一が、今年もウィーン少年合唱団を迎えられる感謝と喜びを述べました。
「来日70周年を迎え、親子3世代にわたって彼らの歌声を愛好している方も多いのではないでしょうか。今年はヨハン・シュトラウス2世の生誕200年にちなんだプログラムも用意し、関西・大阪万博でも歌声を披露してくれます。また、合唱団の魅力をより感じていただけるツアープログラムも、精魂込めて制作しました。会場のほか、ネットや電子書籍版も販売するのでぜひお手にとってお楽しみいただきたいです」
昨年に引き続き、特別協賛の住友生命保険相互会社 取締役 代表執行役副社長の角英幸氏は、本公演がご来場者一人ひとりのウェルビーイングにつながることを願いました。
「伝統と格式あるウィーン少年合唱団に、引き続き特別協賛できることを大変光栄に思っております。住友生命は社会福祉および文化振興に貢献すべく、事業を展開しております。今年度より本公演に『住友生命ウェルビーイングコンサート』という冠をつけさせていただきました。昨年、ご好評いただきました、観客の皆さまにコンサートをより身近に感じていただくための取り組み、『ウェルビーイングタイム』は、さらに進化した形で開演前のホール客席内で行わせていただきます。ご来場の皆さまの気持ちが『つながり』、天使の歌声を聴くことで感動の輪が『ひろがり』、一人ひとりのウェルビーイングを高める一助になれば大変嬉しいです」
オーストリア駐日大使のミヒャエル・レンディ氏は、現在開催中の関西・大阪万博に触れ、文化交流の大切さを強調。創団以来、ウィーン少年合唱団は“歌う大使”として、特に日本でその役割を大きく果たしてきました。その功績を讃え、さらに合唱団のもつ文化の力に期待を寄せます。
「現代社会の抱える問題を解決するための原動力は、文化や創造力、そして国と国との交流だと考えています。同時に伝統を次世代に伝えることも重要な課題です。
今年、関西・大阪万博では5月23日のオーストリアのナショナルホリデーにあわせて、合唱団がコンサートを行います。オーストリアのアレクサンダー・ファン・デア・ベレン大統領も列席し、パビリオンのザルツブルクブースに展示されているモーツァルトのヴァイオリンの音色もお届けします。今年は、両国の歴史にとって新たな1ページが刻まれることでしょう」
ご自身も10歳のときに団員として初来日したエーリッヒ・アルトホルト団長は、合唱団の歴史の長さを振り返るとともに、未来への役割を述べました。
「70年間に行われた日本公演は36回。1534回のコンサートを行い、832人の団員が参加しました。今、ウィーンでは日本公演の歩みをまとめた展示会を行っており、開会式には初来日公演に参加した元団員二人が出席してくれました。お一人は80歳でしたが、当時のことを鮮明に覚えていました。日本と結ばれた絆は、永遠に続くものだと信じています。そしてこの伝統を次世代に引き継ぐことが我々の存在意義だと思っています。
昨年9月には合唱団が附属している学校が、共学となりました。少女合唱団もでき、少年合唱団とともに、切磋琢磨しながら共に歩んでいってもらいたいと思います」
2021年の来日予定がコロナ禍により中止になってしまったため、待望の初来日となったカペルマイスターのマニエル・フーバー氏。日々鍛錬しているという流暢な日本語で会見し来場者を驚かせました。
「今年はヨハン・シュトラウス2世生誕200年にちなみ、Bプログラムでは『シュトラウス・フォー・エバー』をお届けします。シュトラウス作品はもちろんのこと、オーストリアの伝統曲や、ヨーゼフ・シュトラウス作品のボサノヴァ風アレンジにも注目していただきたいです。私たちは伝統を大切にし、未来へつなげていくことが重要だと考えています。
プログラムAは『ぼくたちの地球そして未来へ』というテーマでお届けします。前半では自然を讃え、後半では猫やアヒル、ハエといった生き物の歌のほか、《ふるさと》《ゴンドラの唄》、スタジオジブリの楽曲など、日本語の歌もお届けします」
質疑応答では、モーツァルト組のメンバーが質問に答えてくれました。「日本ツアーで楽しみにしていることは? 日本語の歌は難しいですか?」という質問には、クリスさんが少し緊張しながらも堂々と答えてくれました。
「日本の文化を楽しみたいです。日本語の歌については、発音や意味をよく理解して歌いたいと思っていますが、なかなか難しいです」
公演プログラムのQ&Aコーナー「日本といえばどんなイメージ?」の質問に「祖父母のこと」と答えていたハズムさん。「どんなことを思い出しますか?」という記者からの質問に、「おじいちゃんは電気のことを教えてくれて、楽しいです。おばあちゃんの作るご飯はおいしくて、ウィーンに帰るのが寂しくなるぐらい。一番好きなのは、たくさんあるけど、ラーメン!」と答え、会場はあたたかな笑いに包まれました。
最後に「モーツァルト組の誇りは?」という質問に、フーバー氏は「レパートリーが広いことです」と回答。今年のプログラムは現代的であり、二人の団員がヴァイオリンの演奏を披露することにも触れ、本公演へのさらなる期待が高まります。
団員のサムエルさんの答えは「仲がいいことです。お互いのことをよく知っているから良い音楽ができます」と、はにかみながらも誇らしげでした。
会見の最後には、岡野貞一《ふるさと》、ヨーゼフ・シュトラウス(ランツ編曲)《フォー・エバー・ボサノヴァ!》を披露し、軽やかで爽やかな歌声によって、会見が締めくくられました。
文:東ゆか(ライター/編集者)
写真:松尾淳一郎
《公演情報》
住友生命ウェルビーイングコンサート
ウィーン少年合唱団 モーツァルト組
(カペルマイスター:マヌエル・フーバー)
日時・会場:
2025年5月3日(土・祝) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール
2025年5月6日(火・祝) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール
2025年5月29日(木) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール
2025年6月10日(火) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール
2025年6月13日(金) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール ※アフタヌーン・コンサート・シリーズ2025-2026
2025年6月14日(土) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール
2025年6月15日(日) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール
他 全国公演スケジュールは特設サイトをぜひご覧ください!
https://www.japanarts.co.jp/special/wsk/
◆ウィーン少年合唱団のプロフィールは下記をご参照ください。
⇒ https://www.japanarts.co.jp/artist/wsk/