2023/6/21

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平野和 インタビュー【後編】

欧州デビューを果たしてから今年15年を迎え、8月にリサイタルを予定するバス・バリトンの平野和。
演奏会に向けて、オペラ研究家の岸純信さんが、インタビューを行いました。前編に引き続き、後編をお届けいたします。
前編はこちら

平野和&小百合

 それでは、「歌曲と歌声」についてじっくり語ってもらおう。
 「ハンスマン先生はリリックなコロラトゥーラ・ソプラノでしたので、バス・バリトンの自分とは全然違う声なのですが、まずは、男女関係なく『響きを前に集めて!客席の隅々まで貴男の声が飛ぶように!』と指導されるんです。それなので、自分も常にそう心掛けてきた結果、オペラのドラマティックな歌い方も、リートの繊細な表現もやりやすくなったように思うんですね」。
 確かに、平野和の声音は、厚いのに柔らかく、しなやかである。
「今回は、シューマンやベートーヴェンなどいろんな作曲家を歌います。ゲーテの詩で有名な〈魔王〉も、シューベルトとレーヴェの曲の両方を聴いて頂きます。後半はブラームスの《バスのための4つの厳粛な歌》を中心に・・・ブラームスは、リートの詩を選ぶときに、ゲーテやシラーのような大文豪の作品を殆ど選ばなかったんですね。庶民派を貫きたかったのかな?写真を見てもあまり身なりに気を使わなさそう(笑)。でも、メロディは本当に美しいですね」。
 ちなみに、伴奏者はウィーン音大で教鞭を取るピアニスト、奥様の平野小百合。
 「妻はリートの伴奏がしたくて留学していたんですが、僕とはシュターツオーパー(ウィーン国立歌劇場)の立見席で知り合いました。二人とも、『クラシックに親しむ機会を、若い世代にもっと広げたい』という思いが強くて、今回は、知られたリートも入れてプログラムを組み、S席は五千円にしましたが、A席は二人の拘りで千五百円にさせてもらいました(※)。この価格なら、若い人にも手が出しやすいかなと。『まずは聴いてみようかな?』と思って下さることが一番です」
 小学生の男の子と女の子を育てつつ活動するだけに「音楽が、子育て層にまずは響いて欲しい」と願うよう。Podcast番組『やわらかやすしのよみきかせ』も始まって忙しいなか、「まずは8月のリサイタルに全力投球です!」と明るく締め括ってくれた。

(※)チケットの残席状況はホームページをご確認ください。


《公演情報》
欧州デビュー15周年記念
平野和 バス・バリトン・リサイタル
日時:2023年8月3日(木) 19:00
会場:渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
出演:平野和(バス・バリトン)、平野小百合(ピアノ)
https://www.japanarts.co.jp/concert/p2025/


◆平野和のアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/yasushihirano/

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