2023/6/20

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平野和 インタビュー【前編】

欧州デビューを果たしてから今年15年を迎え、8月にリサイタルを予定するバス・バリトンの平野和。
演奏会に向けて、オペラ研究家の岸純信さんがインタビューを行いました。前編、後編に分けてお届けいたします。
 
平野 和 バス・バリトン・リサイタル

 話し声にも歌声にも「深い心根」がありありと滲むのが、バス・バリトン平野和の美質だろう。名前は「やすし」と読むのだそう。衒いなく、ただ感じたままに語る彼は、歌手として、ぶれない道のりを歩んでいる。
 「和の字をすぐ『ヤスシ』と読まれた方はまだいらっしゃらないです。ただ、ドイツ語圏の人は、ヤー・スシ(Jaはドイツ語でYesの意味。スシは勿論、寿司)に聴こえて覚えやすいみたいです(笑)。関東育ちでずっと野球少年でしたが、高校の音楽の試験で歌ってみたら、音大に行くべきだと強く勧められ、日大芸術学部の末芳枝先生に就くことになりました。僕が入学した年、声楽の同期生は20名ほどでしたが、それでも例年に比べて多かったんです。でも、男は少ないから引っ張りだこで、学生オペラで《フィガロの結婚》をやったとき、配役を発表する先生から、『フィガロ、平野君、バルトロ、平野君、アントニオ、ええっと平野君』と言われて???となりました(笑)」
 フィガロは男気ある従僕。バルトロは医師でフィガロの実父。アントニオは庭師。三人が一緒に出るシーンも多く、兼役は絶対に無理である。
 「最初は、『体半分ずつで捻って歌えばいいのか?』なんて思いましたが(笑)。結果、フィガロの役に専念できました。その後、大学を卒業する前に、ウィーン音楽大学のロートラウト・ハンスマン先生のマスタークラスを受けたことで、日大を卒業後はそのままウィーンに留学することになりました。現地ではフォルクスオーパーの専属歌手になり、これまで15年間歌ってきましたが、これからはフリーの立場で日本と欧州で活動します」。
 このように、高い実力がそのままに認められて、平野の今日がある。ところで、今回のインタヴューの目的は、8月に東京で開催する歌手活動15年の記念リサイタルについて。ウィーンを拠点とするだけに、ロマン派のドイツ・リートで固めたプログラムである(以下、後編)

後編はこちら


《公演情報》
欧州デビュー15周年記念
平野和 バス・バリトン・リサイタル
日時:2023年8月3日(木) 19:00
会場:渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
出演:平野和(バス・バリトン)、平野小百合(ピアノ)
https://www.japanarts.co.jp/concert/p2025/


◆平野和のアーティストページはこちらから
https://www.japanarts.co.jp/artist/yasushihirano/

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