2014/5/15

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心に響く…マレイ・ペライア「アカデミー室内管弦楽団について語る」(1)

昨年10月。ピアノ・リサイタルで私たちの心を感動で満たしてくれたマレイ・ペライア。

ペライア

 今年の秋は、12年ぶりに首席客演指揮者を務めるアカデミー室内管弦楽団と来日し、モーツァルトとバッハのピアノ協奏曲を聴かせてくださいます。今から秋を心待ちにする・・・そんな嬉しい気持ちで、ロンドンのペライア氏にお電話しました。

Q:ペライアさん、本日は貴重なお時間をインタビューのために割いてくださり、感謝しております。
マレイ・ペライア(以下MP) : こちらこそ。なんでもお尋ねください。

Q:昨年の10月にはすばらしい演奏をお聴かせ頂き、私どもたいへんハッピーでした。今年の11月にはアカデミー室内管弦楽団との来日が決定し、いまから心待ちにしております
MP:私もとても楽しみにしています。日本に行くたびに、素晴らしい時間を体験しています。仕事の面だけでなく、出会う方々がとても好きです。快適な環境で、演奏もうまくゆきますし、「日本にいる」ことそのものが楽しいのです。今回も待ち遠しいです!

Q:つい先ごろ、ネヴィル・マリナー氏の90歳を祝う「ガラ・コンサート」に出演されたと伺いました。このときは、ペライアさんが弾き振りをされたのですか、それとも、指揮はマリナー氏だったのでしょうか?
MP:マリナー氏が指揮をなさいました。私はピアノ演奏をしたのです。演目はモーツァルトのピアノ協奏曲でした。

Q:マリナー氏との間に感じた一体感は、どのようなものでしたか?
MP : とても楽しめる(エンジョイアブル)ものでした! ずいぶん長い時間が経っていたのです・・・氏と最後にお会いしてから・・・おそらく30年近く、お目にかからずにいました。

Q : そんなに長く、お会いになっていなかったのですか!?
MP : そうなんですよ、30年です。ですから、二度目の初対面、みたいでした(笑)。すばらしい体験ですね。

Q : しかし、それだけブランクがありますと、お互いにフィーリングを掴むのが難しくなかったですか?
MP : いいえ、まったくスムーズでしたよ。そして楽しかった。

Q:そんな「気安さ」が、どこから生まれるのでしょうか?
MP : そうですね・・・(しばし考える)・・・・まず、人物としてマリナー氏が大好きです。公演の数日前にまずお会いし、お互いにとてもリラックスして旧交をあたため、すんなりと仕事の空気に入っていったのです。そんな感覚は双方に同時に起こるものですよね。マリナー氏のほうでも、私のことを快く思ってくださったでしょう。なんとも、すてきな関係です。

Q:そうでしたか。同じ種類の2匹の魚が、居心地の良い池で元気に泳いでいるような絵が浮かんでしまいました!
MP : あっはっは、ほんとうですね、そんな感じでしたよ。

Q : しかし、実際に「ガラ・コンサート」のリハーサルでオケと合わせる前に、ペライアさんご自身は単独でご準備されるわけですよね?
MP : はい、します。

Q : 今回はなにかとくに気をつけて準備されましたか?
MP : そうですね、協奏曲のなかには、ご存知でしょうがカデンツァがあり、そこは、まるまる2分間、ピアノの音だけの演奏箇所です。ふだん私がモーツァルトのピアノコンチェルトを弾く際には、カデンツァにはベートーヴェンのものを用いることが多いのですが、今回は自作のカデンツァを披露させていただきました。ですからその準備が今回は特別なものでしたね、それを、はじめてコンサートで観客のみなさんに聴いていただいて、とても興奮しましたよ。また、曲目そのものが自分には比較的新しいレパートリーでしたので、しっかり読み込みましたね。それも、いわば特別な準備でした。コンサートの直前の2週間は、そのような準備に費やしました。さらにその前には、アメリカ国内のリサイタル・ツアーに出ていました。

Q:ところで、昨年日本にいらしたときにお話を伺いましたけれど、ペライアさんがアカデミー室内管弦楽団で指揮されることになった経緯について、もうすこし詳しく知りたいのですが・・・最初に指揮者としてのオファーを受けたときは、お断りになったそうですね? たしか、指にお怪我をされていた時期で。
MP : はい、そうです。

Q:それは指揮することが難しいからだったのですか、それとも、充分おできにはなったけれど、ご自分の分野ではなかったからですか?
MP : 自分の仕事ではない、と思ったからです。アカデミーからの要望は、明確に「指揮をして欲しい。」というものでした。そのとき私は(怪我のために)ピアノが弾けませんでしたから・・・しばらく弾けないな、という見通しでした。先方が「それでは、ぜひ指揮を。」とおっしゃったのは、その単純な理由のためです。しかし、私はどうも、「自分は指揮者だ。」と思えなかったのです。技術的には経験もありましたし、指揮することはできたのです。ですが「これが自分の役割だ。」と思えたのはやはりどうしても「ピアノを弾く」ことのほうでしたので・・・。ですから、「ありがとう。そのように言っていただけたことはとても光栄です。」と、まず言いました。そのときは演奏の依頼が途絶えていた時期でしたら、なにであってもオファーをいただく、ということは、とても幸せなことだと思いました。その気持ちは強かったです。
けれども、「今は、待ってください。」とも言いました・・・「また、ピアノを弾けるようになりましたら、弾き振りで、ぜひ指揮をしたいと思います。」と・・・。そして、その通りになったのです。また弾けるようになって、アカデミー室内管弦楽団との共演、弾き振りでの共演が実現したのです・・・復帰後、最初の仕事が彼らとの共演だったのです。

取材・通訳:高橋美佐

(2)へ続く・・・・

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12年振り!巨匠ペライアが聴かせる奇跡の指揮&ピアノ
マレイ・ペライア(指揮&ピアノ)&アカデミー室内管弦楽団

2014年11月13日(木) 19:00 サントリーホール
<曲目>
メンデルスゾーン:弦楽のための交響曲 第7番 ニ短調
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第21番 ハ長調 K.467
J.S. バッハ:ピアノ協奏曲 第7番 ト短調 BWV 1058
ハイドン:交響曲 第94番 ト長調 Hob.I-94「驚愕」

公演の詳細はこちらから

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