2025/5/16
ニュース
ウィーン少年合唱団モーツァルト組&カペルマイスター:マヌエル・フーバーさんインタビュー
4月27日から6月15日まで、ウィーン少年合唱団モーツァルト組の皆さんが“天使の歌声”を届けに日本各地を巡っています。24名のメンバーを代表して、サムエルさん、モーリッツさん、ケイトさん、そしてカペルマイスターのマヌエル・フーバーさんに普段の合唱団の生活や、日本公演での好きな曲についてお話をうかがいました。団員の3人はハキハキと質問に答えながらも、ときおり見せるいたずらっぽい目が印象的。フーバーさんは日本語で質問に答えてくださいました。
取材・執筆:東ゆか(ライター/編集者)
——ウィーンではふだん、どんな一日を過ごしていますか。
サムエル
朝7時に起床して、7時半から11時までは学校で授業。その後、2時間は合唱の練習。1時間の休み時間があって、また4時間学校で授業を受けます。6時になったら自由時間。プールへ行ったり、サッカーをして過ごします。午後9時半には就寝という規則正しい生活をしています。
——個人の歌のレッスンはありますか。
サムエル
合唱の合間に個人レッスンの先生がいらっしゃって、一人ひとりレッスンを受ける時間があります。
——日本公演はA/Bプログラム、あわせて約40曲の盛りだくさんのプログラム。皆さん寮に帰られてから楽譜を見て暗譜したり、個人練習の時間もあるのでしょうか。
フーバー
歌詞は練習の中で自然に覚えてしまうので、覚えるために特別な時間は作りません。夜は自由な時間。スポーツをしたり読書をしたりして、思い思いに楽しい時間を過ごしています。
——メリハリのある生活を送られているんですね。年間80公演に出演されるなかで、どのような瞬間に喜びを感じますか?
サムエル
一番素敵だと思うのは、海外公演のときです。一度のコンサートでこれだけたくさんの曲目を用意するやりがいや喜びがありますし、外国へ行って違う文化をもつお客さまの前で歌えることがとてもうれしいです。
フーバー
前回のツアーではアメリカへ行き、アメリカの雰囲気とカーネギーホールを楽しみましたね。
——フーバーさんはこれまでに他の合唱団でのご所属やご指導の経験がおありです。ウィーン少年合唱団の一番の特徴はなんでしょうか。
フーバー
一番は演奏旅行の多さとその長さです。私自身、子どもたちと旅をしながら演奏することをとても楽しんでいますし、音楽的な刺激も得られます。例えばAプログラムのヨルダン民謡《海の上で》は、2年前のヨルダン公演を機にレパートリーに加わった曲です。なお、ウィーン少年合唱団はヨルダンで難民の音楽教育プロジェクトも行っています。
——合唱団の皆さんにとってフーバーさんはどのような先生ですか?
モーリッツ
厳しいときもあるけれど、とても優しい先生です。自由時間にも、僕たちと一緒にサッカーをしてくれます。
フーバー
モリスは卓球が上手で、時々一緒に対戦するんですよ。
サムエル
とても温かい先生です。僕たちに何か課題があると、一緒に練習してくれます。例えば今回歌う、日本語の発音や意味についても一緒に考えてくれました。僕たちも教わったことはちゃんとできるようにしようというモットーで取り組んでいます。
フーバー
日本語についてはケイトから教えてもらうこともあるんですよ。
ケイト
フーバー先生はたくさんの楽器を弾けてすごいなと思っています。ピアノ以外にも、アコーディオン、ギターも弾きます。去年のコンサートではバグパイプも吹いていました。
フーバー
ケイトも日本公演ではヴァイオリンを披露してくれるね。Bプログラム、ヨハン・シュトラウスⅡ世:ワルツ《春の声》ではソロを演奏しています!
——堂々としたとても素晴らしいソロでした。歌も楽器も緊張はしますか?
ケイト
慣れてきたらしません。初めての曲や、ソロのある曲、大きなホールのときは緊張します。
フーバー
リラックスしてもらうために、コンサート前に全員に向けて語りかけ、とくに緊張しているメンバーがいたら二人きりで話します。そうするとみんな頑張ってくれます!
——皆さんの好きな曲とその魅力を教えてください。
モーリッツ
Bプログラム、ガルス:《堅めたまえ、神よ》が好きです。さまざまなメロディーパートがあり、ポリフォニックで、強弱の幅が多いところが気に入っています。
サムエル
僕はヨハン・シュトラウスⅡ世:《皇帝円舞曲》のタンゴでアレンジした《皇帝タンゴ》。最初は2本のヴァイオリンとソロ、アコーディオンで静かに始まり、激しい曲想へ変化します。そのダイナミックさが好きです。
ケイト
僕は岡野貞一:《ふるさと》です。日本にいたときに教わった曲で、オーストリアで歌うと日本の家族や故郷が思い浮かびます。きれいに歌えたら涙が出そうにもなります。
フーバー
私はブリテン:《神の子羊を喜べ》。宗教曲的な内容なのに、動物について歌っているなんて面白いですよね。原曲はオルガンの伴奏ですが、アコーディオンとヴァイオリンと一緒にお届けします。短いですが難しく、演奏しがいのある曲です。
——Aプログラムにはフーバーさんが黒澤明監督の映画『生きる』の挿入歌として出会った中山晋平:《ゴンドラの唄》もありますね。
フーバー
『生きる』は日本の家族に薦められて鑑賞しました。《ゴンドラの唄》もとても気に入りプログラムに入れました。私は日本の文化や日本語が大好きなので、やっと日本へ来られたことがとてもうれしいです。
——日本各地の皆さんもモーツァルト組の演奏を楽しみしています。6月までのツアー、どうぞ体調に気をつけて、素晴らしい歌声を届けてくださいね。
《公演情報》
住友生命ウェルビーイングコンサート
ウィーン少年合唱団 モーツァルト組
(カペルマイスター:マヌエル・フーバー)
日時・会場:
2025年5月3日(土・祝) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール
2025年5月6日(火・祝) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール
2025年5月29日(木) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール
2025年6月10日(火) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール
2025年6月13日(金) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール ※アフタヌーン・コンサート・シリーズ2025-2026
2025年6月14日(土) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール
2025年6月15日(日) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール
他 全国公演スケジュールは特設サイトをぜひご覧ください!
https://www.japanarts.co.jp/special/wsk/
◆ウィーン少年合唱団のプロフィールは下記をご参照ください。
⇒ https://www.japanarts.co.jp/artist/wsk/