2025/5/8
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【公演レポート】住友生命ウェルビーイングコンサート ウィーン少年合唱団2025年 Bプログラム「生誕200年記念 シュトラウス・フォー・エバー!」
ウィーン少年合唱団モーツァルト組は、現在50日間にわたる日本ツアーの真っ只中。5月6日には東京オペラシティでBプログラム公演が行われ、会場は満員の聴衆で賑わいました。
開演前には住友生命ウェルビーイングイベント「声を出してみよう!」も実施。合唱団が歌う前に行う発声練習や、身体をリラックスさせる方法をカペルマイスターのマヌエル・フーバー氏に教えてもらいます。フーバー氏の日本語での指導のもと、来場者は全身のストレッチ、呼吸のエクササイズ、発声練習を体験しました。
「歌うときには、姿勢、腹式呼吸、口を縦に大きく開けることに気をつけましょう」というアドバイスのもと、会場を3つに分けてド・ミ・ソのハーモニーを作り、続いて岡野貞一《ふるさと》を会場全体で歌いました。最初は照れくさそうに参加されていた方も、次第に夢中になり笑顔がこぼれる様子も。聴くだけではない、自ら歌う音楽の喜びを改めて教えてくれたイベントとなりました。
Bプログラムのテーマは『生誕200年記念 シュトラウス・フォー・エバー!』。ヨハン・シュトラウスⅡ世のアニバーサリーを記念したプログラムです。曲間のMCはフーバー氏と団員が日本語で進行。ユーモアを交えた内容に会場からは笑いが起き、温かな雰囲気と合唱団の美しい歌声に包まれたステージになりました。
オープニングは、ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ《永遠に!》。歌詞は合唱団のために書き下ろされた作品で、彼らの定番のレパートリー。元気よく高らかにオープニングを飾りました。
ガルス:《堅めたまえ、神よ》と、サン=サーンス:《アヴェ・マリア》は合唱団が日頃ミサで歌っている2曲。強弱を幅広く表現し、伸びやかに厳かな歌声を聴かせてくれました。ヨハン・シュトラウスⅡ世:《皇帝円舞曲》は、高音のオブリガートに、低音もはっきりと聞こえてくる音域の幅の広い楽曲。“皇帝”の名にふさわしい、豪奢で威厳ある響きでした。
華やかなウィーン暮らしから一変、舞台は南チロルへ。チロル地方の民謡:《私の愛しい娘、巻き毛の娘》は、ギター、ヴァイオリン、アコーディオンの素朴な音色から始まり次第に編成が大きくなりますが、終始変わらない純朴さで会場を優しく包みました。
ヨハン・シュトラウスⅡ世:《春の声》は、オブリガートを受け持ったヴァイオリンが活躍。ハイトーンのソロと共に、さらなる彩りを添えました。演奏後は拍手喝采。フーバー氏とも固い握手を交わしました。
語りかけるようなワルツ、ジーツィンスキー:《ウィーン、わが夢の街》は、淡い、夢見るような響き。ウィーンに誘われているかのような心地にさせられ、晴れやかに終曲。オーストリア民謡:《万歳、チロルの仲間》は、アコーディオンの伴奏に乗って、急緩のリズムと発語の妙が楽しく響きました。ヨハン・シュトラウスⅡ世:ポルカ《アンネン・ポルカ》は、弾むような跳躍に合唱団のもつ頭声の美しさが見事にマッチ。ワルツ《美しき青きドナウ》は清らかな小川のような響きに始まり、次第にハーモニーが拡大。力強く壮大なドナウへと変貌を遂げました。
岡野貞一:《ふるさと》は2番を来場者の皆さんと合唱団が一緒に歌唱。3番が終わると、会場が一体となった喜びが表れた温かな拍手が起きました。
プログラムの後半は、ボサノヴァ風、スィング風、タンゴ風、ブルース風とヨハン・シュトラウスⅡ世の編曲作品が散りばめられ、ウィーンの名旋律が多彩なリズムとハーモニーで彩られました。最後を飾ったのは《ラデツキー・サンバ》(ラデツキー行進曲より)。お客さまも手拍子で参加し、皆、笑顔で終演を迎えました。
文:東ゆか(ライター/編集者)
写真:松尾淳一郎
《公演情報》
住友生命ウェルビーイングコンサート
ウィーン少年合唱団 モーツァルト組
(カペルマイスター:マヌエル・フーバー)
日時・会場:
2025年5月3日(土・祝) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール
2025年5月6日(火・祝) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール
2025年5月29日(木) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール
2025年6月10日(火) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール
2025年6月13日(金) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール ※アフタヌーン・コンサート・シリーズ2025-2026
2025年6月14日(土) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール
2025年6月15日(日) 13:30 東京オペラシティ コンサートホール
他 全国公演スケジュールは特設サイトをぜひご覧ください!
https://www.japanarts.co.jp/special/wsk/
◆ウィーン少年合唱団のプロフィールは下記をご参照ください。
⇒ https://www.japanarts.co.jp/artist/wsk/