2022/2/10

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【国際音楽祭NIPPON2022 オンライン記者会見レポート】

2022年2月7日(月)都内にて、国際音楽祭NIPPON2022芸術監督 諏訪内晶子によるオンライン記者会見が行われました。
2012年からスタートし今回で第7回目となる国際音楽祭NIPPON。前回に引き続きコロナ禍での開催となるなか、趣向を凝らした企画ラインナップや、開催に向けての思いについて語りました。

国際音楽祭NIPPON2022 オンライン記者会見レポート©その江

登壇者 諏訪内晶子(中央)、ジャパン‧アーツ代表取締役社長 二瓶純一(写真左)、同取締役・国際音楽祭NIPPONプロデューサー 山田亮子(右)

諏訪内晶子よりご挨拶

諏訪内晶子©その江

「世界中がパンデミックに入ってから早2年が経とうとしております。国際音楽祭NIPPONは、そうしたなかでも、音楽を通じた出会いを通じて、”感動を紡ぐ”場であってほしいと願ってまいりました。今回もこうした大変ななか、たくさんの方々のご協力を得て、音楽祭を開催することができますことを、大変光栄に思っております。」

国際音楽祭NIPPON2022 は、3つのキーワード「感動を紡ぐ」「心をつなぐ」「未来を創る」を中心として、企画立案が行われています。企画ラインアップのご紹介に続き、寄せられた質問に答えました。

― バッハの無伴奏ソナタ&パルティータは、今回初めて全曲演奏に取り組まれますね。
「ソナタ第1番から作品番号順に演奏します。6曲続けて弾くとメッセージがより明確に伝わる気がします。それぞれの曲に込められたメッセージを弾きわけられたら、と思っております。」

― 紀尾井ホールでの室内楽プロジェクトでは、望月京さんに作品を委嘱し、また女性の作曲家に焦点をあてたプログラムになっています。どのような思いを持っていらっしゃいますか。
「この10年で、女性作曲家の作品を弾く機会が非常に増えてきています。世の中が多様化へと動いていくなかで、いつかはプログラムに取り入れたいという思いがあり、今回の企画に入れさせて頂きました。バツェビチは、数年前にある音楽祭で、バッハの無伴奏と現代作品を組み合わせてプログラムを組む機会がありました。そのとき色々と調べていくなかで、バツェビチのピアノ五重奏曲との”出会い”があり、いつかぜひ取り上げたいと考えていました。」

― 現代作品に取り組む際、存命の作曲家と直接コミュニケーションをとり、作品の理解を深めていくこともあるのでしょうか。デュティユーやクルタークには実際にお会いになられたとお聞きしています。
「随分前になりますが、1997年にマルボロ音楽祭に7週間ほど滞在しました。その時音楽監督だったアンドラーシュ・シフさんがクルタークさんをお連れになりました。クルタークの作品の演奏会もありましたし、クルタークがベートーヴェンの弦楽四重奏曲のマスタークラスを行っていました。その指導には、どうして1つの音にこんなにこだわるの、と思いましたが、その後でクルターク先生の作品を聴くと、なるほど、と思うことがありました。ただ作品を演奏するだけでなく、作曲家の方と交流をすることによって、自分のなかでより納得をして演奏することは、演奏家にとって必要なことではないかと思います。」

― 昨年から新しい楽器 グァルネリ・デル・ジェズをお使いですが、あるインタビューで、奏者が楽器に働きかけることによって楽器の可能性が引き出され、人間の声の様に変容していく、とおっしゃっていました。今回バロックから現代作品まで幅広く取り上げますが、ヴァイオリンの”声”はどのように変容するのでしょう。
「ここまでキャリアが長くなってきますと、ほとんどの作品はストラディヴァリウスで弾いています。でも楽器が違っただけで、全く異なる音楽になります。なぜかと言うと、楽器が持つ潜在的な能力や音質が異なります。ストラディヴァリウスの場合は、もともとあるものを崩さないでどれだけきれいな状態で聴いて頂くか。デル・ジェズの場合はただ弾いただけでは音が出ません。奏者が掘り下げて、イメージした音に近づけていく、そしてやがてイメージした以上の音が出てくる。バッハの無伴奏を演奏していると、ポリフォニーがつくりあがったときに、立体的なポリフォニーが特徴的と感じます。地響きのように倍音がなりますので、どのようにコントロールをするかにはエネルギーを使います。今回はしらかわホール、東京オペラシティなど音響に恵まれた環境で演奏しますので、私も楽しみにしています。」

― ヴァイオリンのマスタークラスを、2日間という短い期間で行う意図はなんでしょうか。
「マスタークラスに応募頂いているのは、プロを目指す若い方々です。演奏会の場では、最初のミーティング、リハーサル、本番、この3回のなかでどれだけ自分を高めていけるか、どれだけ協調性を持って自分を良さを出すか。何年も前から知っている相手でなくても、そのなかで打ち解けて、自分の実力を出し切ることが大切です。そのことを、マスタークラスの2日間のなかで、ぜひ実感して頂きたいと思っています。若い方は反応が早いので、成長を見るのが非常に楽しみです。」

諏訪内晶子©その江

3月13日までの約一か月にわたり開催される国際音楽祭NIPPON2022、「諏訪内晶子 バッハ無伴奏ソナタ&パルティータ全曲演奏会」を皮切りに、多彩なラインアップでお送りいたします。
どうぞご期待下さい!

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