2020/2/7

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五嶋龍インタビュー [フィンランド放送交響楽団 2020年来日公演]

5月下旬から日本ツアーを行う指揮者 ハンヌ・リントゥとフィンランド放送交響楽団。シベリウスの「ヴァイオリン協奏曲 ニ短調」で楽団と共演する、ヴァイオリニスト 五嶋龍にインタビューを行いました。
(五嶋龍の出演日程は、5月23日(土)ザ・シンフォニーホール、5月24日(日)ミューザ川崎シンフォニーホール、5月27日(水)サントリーホール、5月29日(金)愛知県芸術劇場コンサートホールです。)

フィンランドを代表する作曲家シベリウスは若い頃ヴァイオリニストを目指していた。あがり症が原因でヴァイオリニストになるのを諦めたという説もあるが、ヴァイオリンという楽器への想いは強かったはず。それを教えてくれる作品がヴァイオリン協奏曲である。現在では様々な国で、様々なヴァイオリニストが取り上げる傑作として知られるようになったが、今回はフィンランドの指揮者とオーケストラ、そしてニューヨークを拠点に活動する世界的ヴァイオリニストである五嶋龍が、シベリウスの世界を作り出す。「この作品の第1楽章冒頭の部分は、ヴァイオリンが単音で登場します。最初のシーンのイメージについては『北の空を舞う鷲のように』と作曲者が語ったとされ、その時々のソリストが独自の話法で語る部分であります。あくまでも僕の場合は、孤独な感覚、冬の林の中で獲物を待つスナイパーのような印象を持っています。第2楽章では多少温かさが感じられますが、第3楽章は、チェロとコントラバスのリズムは活気あるものの、やはりオーケストラの音質とか和声感とかから<冷たい空気感から逃れられない>のです。そうした自分の想いを作曲家にオープンに質問し、対話しながら演奏をすると思います。」と語る五嶋。2004年にフィンランドを訪ねたことはあるが、現地のオーケストラと共演するのは初めてだと言う。「フィンランドというと、世界で活躍する前衛的な作曲家が多く生まれた国であり、おのずとオーケストラもそうした現代曲に触れる機会が多いと想像しています。そこでどんなコラボレーションが生まれて来るのか、期待しています。一見、シベリウスのヴァイオリン協奏曲ではオーケストラが音楽の下地を作って、ソリストがその上に独自の色彩なり形態を描いているように見えて実は、特にオーケストラの役割が重要な意味を持っているのです。フィンランド放送交響楽団は、濃厚且つ冷淡、希望を、シンフォニック的な厚みのある音楽で、フィンランドの冬から春の幕開け迄の景色を繰り広げてくれるに違いありません。」日本で実現する五嶋とリントゥ&フィンランド放送響の共演は聴き逃せないコンサートとなるだろう。
 
片桐卓也(音楽ジャーナリスト)

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伝統と革新。北欧屈指の名門楽団。
フィンランド放送交響楽団 首席指揮者:ハンヌ・リントゥ、ヴァイオリン:五嶋 龍(5/27)、ピアノ:チョ・ソンジン(5/28)
2020年5月27日(水)19:00開演 サントリーホール
2020年5月28日(木)19:00開演 サントリーホール
公演詳細はこちらから

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