2019/12/25

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エサ=ペッカ・サロネン、フィルハーモニア管との日本ツアー2020を語る!

2020年1月23日より東京芸術劇場、東京文化会館、兵庫県立芸術文化センターKOBELCO 大ホールにてコンサートを行う指揮者 エサ=ペッカ・サロネン率いるフィルハーモニア管弦楽団。音楽ジャーナリスト 池田卓夫氏がエサ=ペッカ・サロネン氏に電話インタビューを行いました。どうぞご覧ください。

音楽家大国フィンランドの、というよりは世界を代表する指揮者の1人、エサ=ペッカ・サロネン(1958年生まれ)が2020年1月下旬、ロンドンの名門フィルハーモニア管弦楽団と、2008年から務めてきた首席指揮者として最後の日本ツアーに臨む。意欲的なプログラミングの背景などについてサロネンに国際電話で直接、話を聞いた。

最初にフィルーモニア管弦楽団首席指揮者としての12シーズンを総括してもらった。「核の部分を補強し、さらに拡張する作業を新しい時代の音楽家と進めました。私がフィルハーモニア管弦楽団を初めて指揮した1983年から在籍している楽員はもう3、4人しかいないでしょう。世代交代と同時進行で、伝統やサウンドアイデンティティーに磨きをかける仕事は大きな喜びです。面白いことに偉大な前任者たち—ヘルベルト・フォン・カラヤンやオットー・クレンペラーが築いたサウンドの基盤は記憶のDNAとでもいうのでしょうか、後の世代にもしっかりと、受け継がれています。私たちは『伝統』がどう伝わり、どの部分を引き継いだのか、具体的に検証できないにもかかわらず、先人たちが口頭で何度も詳しく伝えたアイデアは、確実に受け継がれていくのです。音楽家のコミュニケーションとは言葉の背後にあるというか、言葉を超越した現象です」と、偉大な伝統の担い手との立場を鮮明にした。さらに「世代が下るに連れて演奏テクニックは確実に向上し、HIP(歴史的情報に基づく演奏)への認識も確かです。若いプレーヤーたちは特にピリオド楽器を使用しなくてもバロックから古典、同時代の新作までを柔軟に、輝かしく演奏できます。そのように恵まれた基盤の上で、自分の路線を展開してきました」と、演奏様式の洗練にも目を向ける。

今回のツアー曲目はシベリウス、マーラー、ラヴェル、ストラヴィンスキー、ショスタコーヴィチという近現代の傑作に、サロネンの自作を加えた。その意図は「首席指揮者の立場で最後の日本ツアー、というレトロスペクティヴ(回顧的)な視点を強く意識したからです。フィルハーモニア管との演奏会で何度も繰り返しとり上げ、大成功を収めたコアな作品を並べます。その成果を日本の聴衆の皆様とも、分かち合う(シェアする)思いをこめました」と、明快だ。
中でもストラヴィンスキーは1989ー1991年に作曲家の没後20年(1991年)をにらみ、「春の祭典」「火の鳥」「ペトルーシュカ」の3大バレエ音楽と「プルチネルラ」組曲を集中して録音(ソニーミュージック)したのをはじめサロネンとフィルハーモニア管、長年の「勝負曲」であり続けたので聴き逃せない。

サロネンの作曲は豊富な指揮経験の反映か、先鋭な感覚ながら、聴衆を置き去りにしない大衆性を兼ね備える。作曲家としての心構えを、尋ねてみた。「もちろん私の作品は現代音楽です。だが、ゼロから出発しているわけではありません。引用や参照の可能な素材(レファレンス)があるからこそ、人は容易に理解できるのです。私はすべての経験をレファレンスに音楽をつくり、聴衆への新たなレファレンスも創造したいと願い、作曲してきました」

サロネンの「チェロ協奏曲」にはトゥルルス・モルク、ショスタコーヴィチの「ヴァイオリン協奏曲第1番」には庄司紗矢香がそれぞれ、ソリストとして同行する。2人に関しては「それぞれの楽器の分野で最も完璧な音楽家です。強いパーソナリティーだけでなく、誠実さを兼ね備えています。私が好むソリストは『音楽第1、エゴ(自我)第2』のタイプです。その条件を完全に満たした方々と日本を一緒に訪れられることを、心から喜んでいます」と、手放しの絶賛だった。

取材・翻訳:池田卓夫(音楽ジャーナリスト@いけたく本舗®)

【エサ=ペッカ・サロネン指揮、フィルハーモニア管弦楽団】
東京芸術劇場にて「VRサウンド・ステージTokyo」開催!

https://www.japanarts.co.jp/news/p4570/
◆エサ=ペッカ・サロネンのプロフィールは下記をご参照ください。
https://www.japanarts.co.jp/artist/EsaPekkaSALONEN/

◆フィルハーモニア管弦楽団のプロフィールは下記をご参照ください。
https://www.japanarts.co.jp/artist/po/


【新譜情報】フィルハーモニア管弦楽団~創立75周年記念歴史的録音集 (2020年1月7日発売)
https://www.japanarts.co.jp/news/p4572/

東京芸術劇場 海外オーケストラシリーズ
サロネン&フィルハーモニア管弦楽団の集大成!歴史に刻まれる必聴のプログラム!!
フィルハーモニア管弦楽団
2020年1月23日(木)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール
2020年1月28日(火) 19:00 東京芸術劇場 コンサートホール
2020年1月29日(水) 19:00 東京芸術劇場 コンサートホール
公演詳細はこちらから

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