2018/7/13

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「シューマン交響曲全曲演奏会の魅力」[クリスティアン・ティーレマン指揮 ドレスデン国立歌劇場管弦楽団]

10月に来日する、クリスティアン・ティーレマン指揮 ドレスデン国立歌劇場管弦楽団。現地ドレスデンでの【ブラームス・ツィクルス】【ブルックナー・ツィクルス】に続き、クリスティアン・ティーレマンがドレスデン国立歌劇場管弦楽団とともに、全身全霊で挑む【シューマン交響曲全曲演奏会】魅力が詰まったチラシが完成いたしました!

◇シューマンとのかかわり◇
かつて、このオーケストラの首席指揮者であったシノーポリは、亡くなる直前にシュターツカペレ・ドレスデンで、シューマンの交響曲第1 番「春」を指揮しました。第2楽章をリハーサルしている時、「死」を思わせる話をしたことが、今でもオーケストラの中で語り草になっているそうです。それからしばらく、シノーポリを偲ぶコンサート以外では、ティーレマンもドレスデン国立歌劇場管弦楽団とは、シューマンの交響曲を演奏していません。また、ティーレマン自身にとってもシューマンは、ワーグナーやブルックナーに着手するよりも前から手がけていた大切なレパートリーであり、今回の【シューマン:交響曲全曲演奏会】にかける意気込みは、とても強いものがあります。ドレスデンは、シューマンという作曲家にとって、とても身近なところです。シューマンが長く想いを寄せ、後に結婚したクララが住んでいた街であり、シューマン自身も1844年から1850年まで(本人が34歳から40歳まで)の6年間を、ドレスデンで過ごしました。その時期は、ワーグナーがドレスデン国立歌劇場の楽長だった時代(1843年~49年)とも重なり、シューマン自身も同団の指揮台に立って自作を演奏しています。シューマンのドレスデン時代は多作な時期で、交響曲第2番の他、歌劇「ゲノゲーヴァ」、序曲「マンフレッド」、ピアノ協奏曲などの充実した作品を完成させています。
ワーグナーがドレスデン国立歌劇場の長を務め、近くのライプツィヒにはメンデルスゾーンが居を構え、リスト、ベルリオーズが頻繁に訪ねてくる―当時のドレスデン・ライプツィヒの地域は、多くの作曲家たちの集う街だったようです。ドレスデン国立歌劇場管弦楽団 徹底解剖!
このオーケストラの正式名称は?
『ドレスデン国立歌劇場管弦楽団』『シュターツカペレ・ドレスデン』『ザクセン州立歌劇場管弦楽団』など、さまざまな名前で呼ばれていますが、いったいどれが正しいのでしょうか?
このオーケストラは、ドレスデン国立歌劇場を本拠に置くオーケストラ。ドレスデン国立歌劇場は、ドイツ語ではSemperoper(ゼンパーオーパー)、S?chsische Staatsoper Dresden(ザクセン州立歌劇場)と記載されています。ゼンパーオーパーとは、19世紀に誕生した宮廷劇場の設計者ゴットフリート・ゼンパーの名に由来するもの。この時期の同歌劇場は、作曲家のウェーバー、ワーグナーが牽引し、9つの初演を含むR. シュトラウスのオペラを上演した、ドレスデンの歌劇場史上、もっとも輝かしい時代であり、ゼンパー・オーパーの名前は世界中に轟いたと言われています。もうひとつの名称、ザクセン州立歌劇場というのは、1989年10月の東欧革命によって管理運営がザクセン州になったことによるもの。ドレスデン国立歌劇場(管弦楽団)から、ザクセン州立歌劇場のオーケストラ、ザクセン州立シュターツカペレ・ドレスデンへと改称されました。

世界的に見ても長い歴史をもつオーケストラ
ドレスデン国立歌劇場管弦楽団(シュターツカペレ・ドレスデン)の創設された年は1548年。今年2018年は楽団創設470周年を迎えます。例えば、当時ドレスデンと並びヨーロッパの大都市だったライプツィヒのオーケストラ、ゲヴァントハウス管弦楽団の創立は1743年。ベルリンのオーケストラ、シュターツカペレ・ベルリンは1742年に創立されました。ロマノフ王朝の宮廷楽団に礎を持つサンクトペテルブルグ・フィルハーモニー管弦楽団は1772年、ニューヨーク・フィル、ベルリン・フィルの創立は19世紀に入ってからなのです。ドレスデン国立歌劇場管弦楽団の歴史の長さ、積み上げてきたものの深さに思いを馳せ、その連綿と続く音色に耳を傾けていただきたいと思います。

ドレスデン国立歌劇場管弦楽団の指揮者たち
ドレスデン国立歌劇場管弦楽団を率いてきたマエストロを列記しようとすると、この劇場のドイツ・オペラ部門の楽長を務めたとされるカール・マリア・フォン・ウェーバー、リヒャルト・ワーグナーまでさかのぼることができます。1945年、劇場を含め市内の全てが廃墟になったドレスデン爆撃の前後でも、フリッツ・ライナー、カール・ベーム、ルドルフ・ケンペ、ロヴロ・フォン・マタチッチ、オトマール・スウィトナー、ヘルベルト・ブロムシュテット、ジュゼッペ・シノーポリ、ファビオ・ルイジなど、偉大なマエストロたちが指揮台に立ってきました。

讃えられてきたその独特の響き
では、その響きの特徴はどのようなものなのでしょう ?
様々な時代の人々の言葉から探ってみたいと思います。 

「魔法の竪琴」(R.ワーグナー)

「ドレスデンのヴァイオリンの仄かな響きを抜きに『ローエングリン』のスコアは書けないし、感動的な木管群のカンティレーナや金管群の華麗な響きの記憶がなければ後期作品は考えられない」(R.ワーグナー)
 
「ピアニッシモが、もうまったく夢のように素晴らしいとしか言いようがない」(R.シュトラウス)
 
「技術的な完璧さと響きのぬくもり」(K.ベーム)
 
「音楽に対する心からの共感と真摯な態度」(G.シノーポリ)

出典:「シュターツカペレ・ドレスデン」
(エーバーハルト・シュタインドルフ/識名章喜訳・慶応義塾大学出版会)

ロマン派から現代に至る様々な人々のコメントが、時代を超越して存在するオーケストラの音色の特質を言い当てているようですね。

今秋、皆様ご自身の耳で、この唯一無二のオーケストラ、「ドレスデン・シュターツカペレの響き」をお確めいただきたいと思います!

▼画像をクリックするとチラシをPDFでご覧頂けます▼
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ティーレマン×シューマン~陶酔のロマンティシズム
クリスティアン・ティーレマン指揮 ドレスデン国立歌劇場管弦楽団
2018年10月31日(水) 19:00開演 サントリーホール
2018年11月1日(木) 19:00開演 サントリーホール
公演詳細はこちらから

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