2014/11/11

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アレクサンダー・ロマノフスキーに聞く Vol.2

1月のリサイタルが待たれるアレクサンダー・ロマノフスキー。
Vol.2は、リサイタル後半で演奏されるショパンについて、そして今後の展望などについてお伺いしました。

ロマノフスキー

Q:ショパンについては?どのように感じますか?
AR:まず、ショパンはスラブ人作曲家ですから、それだけでも魂の近しさを感じます。もちろん、ショパンは比類のない音楽の言葉を持ち、思いを表現しています。そこが、ショパンがこんなに愛され“特別な存在”とされる所以ですよね。ショパンの作品の中では、たとえば嬰ハ短調のノクターンは、よくアンコールで弾いています。すごく好きな作品で、弾きたい曲の一つです。最近はアンコールで欠かさず弾いています。他にもソナタはもちろん、スケルツォ、マズルカなども多く弾いていますよ。
そして今回はバラード2曲と、ソナタ第2番を弾きます。選んだ理由ですか?特に理由はないのですが… まずソナタ2番は、プログラムに入れたいと思いました。プログラムを選ぶときは、まず「起点」となる作品を選びます。今回のプログラムでは(後半)それがまずソナタ第2番で、それを決めてから、一緒に何を弾くかを考えました。
プログラムを選ぶときに私が大切にしていることは、好きな作品、弾きたい作品、というだけではなく、“克服”する、ということを考えます。つまり、自分にとってために(勉強に)なるような、難しさを克服して新たなレベルに到達できるような、そんな曲を課題とするようにしています。それで2曲のバラードを組み合わせました。バラードは4曲とも弾きます。最初は1番と2番のバラードにしようかと思いましたが、結局、2番と4番にしました。
ところで、2番ソナタは実は今シーズンになってから弾き始めた私にとっては比較的新しい作品です。日本で弾く機会を得て、とてもうれしく、わくわくしています。日本の聴衆の皆さんは、ショパンの音楽をとてもよく感じ、理解されています。その皆さんの前でショパンを弾くことは、楽しみでもありますし、大きな責任も感じます。

Q:ロシアの作曲家の作品を弾くことが多いと思いますが、今後の展望などをお聞かせください。
AR:演奏家に対して、特定の作曲家やレパートリーを“結び付ける”傾向は、最近特によく見られます。たとえば私もロシアの作曲家の作品をよく求められ、自分自身もラフマニノフは大好きですし、もちろん、ラフマニノフの音楽は私の人生の重要なパートを占めていると言えます。でも私は、もっとユニバーサルな演奏家になりたいと思います。もちろん、奏者一人一人に得意な分野があり、ほかの奏者にない解釈を見せることもできましょう。が、決して狭い範囲に限らず、より広範なレパートリーを目指すことが大切です。しかもただ範囲を広げるだけでなく、その分野を極めつつ、真摯に、深く、取り組むことです。様々な作曲家、時代、派などです。今はそのようなユニバーサルな奏者が少なくなっていると思います。
私も、たとえばこれまでの録音は、ラフマニノフの他に、シューマンやブラームス、ベートーヴェンなど様々な作曲家の作品を取り上げてきました。グラズノフもあります。そうそう、最新のCDは、ラフマニノフの2曲のソナタを録音しました。1月の来日に向けて、日本でも発売されると思います。ラフマニノフのソナタは、「ロシアのファウスト」です。特に1番のソナタは、ラフマニノフは交響曲を書きたかった。それをピアノソナタにしたのです。ですから、規模が大きい。リストのソナタのように、大きい。演奏時間も40分かかりますし、本当に大きな「音楽画」です。ラフマニノフは、ゲーテの詩曲を音に表したいというアイデアがありました。ファウスト、マルガリータ、悪魔などを音楽で描きたいと考えていました。しかしラフマニノフは標題音楽をあまり好まず、結局ゲーテの詩曲を基にした標題音楽は書かなかった。でも、モチーフは、ソナタの中に残っているのです。そのゲーテのモチーフが、ロシアの魂と折り重なって壮大なスケールの作品になったと考えています。

ロマノフスキー

Q:日本のどこが一番お好きですか?
AR:日本は素晴らしい歴史を持つ、美しい国です。好きなところは数々ありますが、なかでも一番私が心を惹かれるのは、互いを尊敬する気持ちです。目上の人を敬う気持ち。回りの人を気遣う配慮。この点、日本は世界一だと思います。
そのような日本の古来の尊厳が薄くなってきているという声も聴きますが、今の世界は価値観が大きく変わってきています。日本だけでなく、世界共通の問題でもありますね。日本の聴衆は、素晴らしいです。とても熱心に、演奏に耳を傾けてくれます。全身で聞いてくれる。また皆さんとお目にかかれることを、とても楽しみにしています。

ありがとうございました!来年1月を楽しみにしています!
(取材:2014年11月 東京にて)

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気品と風格にあふれる至高のピアニズム
アレクサンダー・ロマノフスキー ピアノ・リサイタル
2015年01月23日(金) 19時開演 紀尾井ホール

ロマノフスキー
 
<プログラム>
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調Op.27-2「月光」
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第30番 ホ長調Op.109
ショパン:バラード 第2番 ヘ長調 Op.38
ショパン:バラード 第4番 へ短調 Op.52
ショパン:ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 Op.35「葬送」

公演の詳細はこちらから

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