2014/9/4

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ボリショイ・バレエ NY公演レポート 「ドン・キホーテ」(アレクサンドロワ&ラントラートフ)

2014年7月22日 リンカーン・センター David H. Koch Theatre
ボリショイ・バレエ
(C)Stephanie Berger

 ボリショイ・バレエ団のニューヨーク公演は、連日完売の人気。もっと観たくなってチケットを追加購入しようとしても、「キャンセルチケットが出る可能性は低いですよ」と言われてしまうほど!高まる期待を胸にリンカーンセンターに向かいました。
力強いボリショイ劇場管弦楽団の演奏が始まり緞帳が上がると、まずステージの華やかさに驚かされます。コール・ド・バレエ(群舞)が躍る舞台は明るく、楽しそうで、私たちがイメージするスペインの町そのもの。ボリショイ・バレエの大きなスケールを感じます。

 「ドン・キホーテ」公演の初日を踊ったマリーヤ・アレクサンドロワは、大きな笑顔、豪快なポーズが決まるたびに大喝采。どんな人のどんな気持ちも、一瞬でスカッとさせてくれるパワーを放っていました。大好きなキトリの登場シーンから、ジャンプはダイナミックで足は軽く高々と上がり、何よりアレクサンドロワ自身がハツラツと、自然体でキトリを楽しんでいるようでした。バジル役のラントラートフはスピードとキレのある踊りで観客を沸かせました。長い手足を生かしたダイナミックなジャンプ、そしてピルエット(ターン)の回転数とバランスの美しさに、会場が大興奮に包まれました。
 スピード感あふれ、爽快な主役2人はもちろんのこと、さすがロシア最高のバレエ団だと感じたのはダンサー全員の素晴らしさ。ダンサー全員の踊りの大きさ、スピード、伝統を受け継ぐクラシック・バレエの美しさは圧倒的ですが、さらに子どもの頃からキャラクター・ダンスのレッスンを受けているので、扇子のあおぎ方ひとつにしても違います。激しい踊りの中でも首の位置や、手の使い方はとても魅惑的で、【ボリショイ・バレエ団】の“ドン・キホーテ”を見ることができて、大満足でした!
 また、“ドン・キホーテ”はマイム(注:ダンサーが会話部分などを表現する見振り手振りのこと)の多い作品なので、キトリの父親、お金持ちのガマーシュ、夢見るドン・キホーテや付き人のサンチョ・パンサなど脇を固める個性的なキャラクターたちが、それぞれコミカルな演技と、思わず噴出してしまう仕草で客席を沸かせていました。
主役の2人以外に特に強く印象に残ったのが闘牛士エスパーダとメルセデス。エスパーダを踊ったデニス・ロヂキンは思いっきりキザで誰もが惚れてしまいそうなほどカッコ良く、決めポーズのメリハリが凄い!ここまでのエスパーダを見たのは初めて、こんなにマントを大きく早く振り回すエスパーダも初めて・・・“超”がつくカッコ良さで強い印象を残しました。相手役のメルセデスを踊ったオクサーナ・シャロワも、人間とは思えない美しいプロポーションで、色っぽく、美しい踊りでした。

 高いテンションのまま迎えた第3幕。主役2人は最後までスピードが落ちることなく、ダイナミックな踊りで観客をどんどん引き込みます。クライマックスのグランパ・ド・ドゥでは、アレクサンドロワがプロペラのような早さの連続フェッテ(回転)を披露。会場の盛り上がりは最高潮になって、熱いカーテンコールが繰り返されました。

文:針山真実
(Hariyama Ballet New York主宰。バレエピアニスト。ニューヨーク在住。)

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ボリショイ・バレエ
《白鳥の湖》 会場:Bunkamura オーチャードホール
□11月20日(木) 19:00【売切れ】
□11月24日(月・休) 17:00【売切れ】
□11月26日(水) 13:00/19:00

《ラ・バヤデール》 会場:東京文化会館
□12月3日(水) 18:30【売切れ】
□12月4日(木) 12:00/18:30

《ドン・キホーテ》 会場:東京文化会館
□12月6日(土) 12:30/18:30
□12月7日(日) 14:00

▼公演の詳細はこちら▼ http://www.japanarts.co.jp/bolshoi2014/index.html

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