2015/12/3

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クリスチャン・ツィメルマン、“究極のシューベルト”について語る。水戸芸術館にて

「オール・シューベルト・プログラム」 2015年11月27日(金) 水戸芸術館にて

ヨーロッパでの演奏ツアーを経て、日本の各地で「オール・シューベルト・プログラム」を演奏し、絶賛を博しているクリスチャン・ツィメルマン。今回、19年ぶりにリサイタルを行う水戸芸術館にて、この“究極のシューベルト”について語ってくれました。

最後にこちらの方面に来たのは、東日本大震災の時です。東京からここまで来る間、震災から復興されて、皆さまが生活を立てなおしていらっしゃる様子を拝見できて、本当にうれしく思います。東日本震災の時は、私も東京におりました。その後も5週間、日本に滞在しました。その後、東北にも行きました。その時の日本の人々の対応を見て、日本人に対する私の尊敬の念は、ますます高くなりました。

「7つの軽快な変奏曲」について

 1970年代初めに「7つの軽快な変奏曲」の楽譜がポーランドで再発見されました。私は1971年に初演させてもらったので、この作品にとても親しみを感じております。本当にシューベルトの作品かどうか、疑問に思われるのは当然のことです。
最初に楽譜が見つかったのは、エッシェンバッハの故郷でもあるポーランドのブレスラウという、古くから音楽の伝統のある街です。かの地では有名な音楽家達を次々に招いて、色々なコンサートが開かれてきました。そして、シューベルト(当時13歳)が父親に連れられてそこにやって来たわけです。このような若い才能が来ると、当地の新聞社が譜面を印刷して紹介するという伝統があり、その印刷物にこの〈変奏曲〉が掲載されています。この事から、〈変奏曲〉がシューベルト作品であることの信憑性はかなり高いのではないでしょうか。

「ピアノ・ソナタ 第20番、第21番について」

今回は、最後の3連作のソナタの中でも特に私の好きなイ長調〈第20番〉と変ロ長調〈第21番〉のソナタを取り上げます。最初に「7つの軽快な変奏曲」をもってくることで、シューベルトの初期と最晩年の作品をトータルにご紹介できるプログラムにしようと思いました。「7つの軽快な変奏曲」から最後のソナタ作品まで、僅か20年足らずですが、この短期間のうちにシューベルトがどれほど成長したかということがわかることと思います。
また、「7つの軽快な変奏曲」をプログラムに入れたことに、もうひとつ理由があります。シューベルトはハイドンとベートーヴェンをたいへん尊敬していました。シューベルトは、自身が亡くなる7週間前の夏(1828年)、ハイドンの墓に花を捧げるために、片道70kmの道のりを徒歩で、アイゼンシュタットに赴いています。(往復140kmも歩いたことになります!)それだけ、ハイドンのことを尊敬していました。この「7つの軽快な変奏曲」は若き日のハイドンを彷彿とさせるような喜びに満ちた、そして古典的な様式を持つ作品なので、ある意味、ハイドンへのオマージュとして、今回プログラムに組み入れ入れました。

今後の活動について、教えてください。

クラシック音楽の主流の曲だけでなく、現代曲も一緒に取り上げていくつもりでいます。現在は、インターネットを通じて簡単に音楽を聴くことができる時代ですが、まだ聞いたことの無い曲というのは、まず演奏される機会がないと、人々に知られることもありません。新しい作曲家の曲を演奏していくこと、それは今までピアニストとして活動してきた自分自身の義務だとも感じています。 

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クリスチャン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル
2016年01月13日(水) 19時開演 サントリーホール
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