2026/2/5

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~ウィーン少年合唱団に新しい合唱曲を~ 藤倉大 特別インタビュー!

いま世界的な注目を集める日本人作曲家のひとり、藤倉大。その藤倉氏が、このたびなんとウィーン少年合唱団のために新しい日本語歌唱曲を書き下ろし、その新曲が2026年5月-6月の日本ツアーで世界初演されます!
住友生命保険相互会社とジャパン・アーツの共同委嘱により実現するこのプロジェクトは、小さな音楽大使といわれるウィーン少年合唱団が、70年以上の日本との友好関係を経て初めて、世界に、そして未来に歌い繋げていく新しい日本語歌唱曲を誕生させるためのものです。
新曲のタイトルは、『Moon Boat』。歌詞は宮沢賢治、中原中也の詩、そして万葉集のことばから着想を得た独創的なものです。
藤倉大氏はいかにしてこの大役を引き受けたのか?そして、世界的な少年合唱団と日本の「ことば」との化学反応はどのようなものになるのか。インタビューで、その創作の背景と作品に込めた思いに迫ります。

取材・文:千葉望
写真:千葉秀河

2023年夏、僕がたまたまウィーンの音楽フェスティバルへ作曲指導のために招かれた時のことです。ウィーン少年合唱団から「2026年の日本ツアーで歌うため、日本語の歌詞がついた曲を作ってほしい」という依頼を受けました。日本で長く親しまれてきたウィーン少年合唱団にどんな曲がふさわしいだろうか。
そこで僕は著作権が切れた「パブリックドメイン」の詩や和歌の中から歌詞のアイデアをもらおうと思いつきました。僕の興味があるのは作曲。これまで合唱作品やオペラを作曲するときにはもう決まった歌詞がありましたが、今回は詩を自由に考えたいという希望がありました。作品をそのまま歌詞としてもらうのではなく、まず音楽を優先して、曲想に合う文章や詩を自由に抜粋したり組み合わせたりできないだろうか。そのためにはどんな作品を選べば良いのか自分でも考え、まわりにも相談しました。少年が歌うのですから、ファンタジーを感じさせるようにしたかったのです。
候補として出てきたのは詩人で童話作家の宮澤賢治、詩人の中原中也、そして「万葉集」です。宮澤賢治の『銀河鉄道の夜』『土神ときつね』『星めぐりの歌』『風の又三郎』、中原中也の『サーカス』、「万葉集」から山上憶良などの何首かから抜粋したり、自分で手を加えたりして歌詞にまとめました。どの作品も「日本で人気のある詩人の作品を使おう」などとは考えず、まったく自由な環境の中で見つけて曲を書きたいと思って選んだものです。それまで僕は宮澤賢治のことは知っていたけれど、子供の時に英国に移ってしまったため中原中也のことは知らなかったのです。パブリックドメインの作品から着想し歌詞として言語化した時に、どれだけ僕が作りたいと思っている音楽に合うのか。それだけを考えて選びました。それくらい彼らの作品はインスピレーショナルだったということです。

最初に作ったのは合唱にピアノ伴奏がつくものでした。歌詞にはオノマトペもたくさん入っており、なかなかおもしろい曲になったと思いましたが、ウィーン少年合唱団のカペルマイスターから「少しむずかしい」という意見をもらいました。そこでzoomなどでたびたび意見交換を行いました。少年合唱は僕が住んでいるイギリスを筆頭として各国で盛んに行われており、それぞれ特徴があります。ウィーン少年合唱団の特徴についても説明を受け、新たに書いたのが今回歌われる曲です。
ウィーン少年合唱団は、日本でもよく知られた「美しく青きドナウ」などの名曲のほか、モーツァルトやブルックナーのミサ曲など、クラシックの大作も歌ってきた団体。しっかり基礎はできています。そんな彼らが僕のような現代音楽の作曲家が作った曲を歌うのですから、彼らの中に何か新しい発見をもたらせたら良いなと思います。たとえ僕の曲を好きにならなくてもいい。5年後に「2026年の日本ツアーで何か変わった曲を歌ったことがあるよね」という思い出になるならそれは素晴らしいことです。
日本語を話さない、母国語とはしないヨーロッパの少年たちがどのようにこの曲を歌おうとするのか、とても楽しみです。日本人が日本語の曲を歌うときはどうしても意味を考えてしまうでしょう。一方僕のように英語が母国語ではない人間が英語を歌詞にして曲を作る場合、ネイティブの人とは違うことを考えます。意味ではなく音の効果として言葉をとらえていく。たとえば「sh」の尖った発音が嫌なので避けるとか、あるいはあえて取り入れるとか。日本語を母国語としない子たちはネイティブより「音」として歌詞をとらえるでしょうから、おもしろいことになるのではないでしょうか。

結果として今回の曲は、「明るく、そして深く前に進んでいく」というものになったと思っています。少年たちが歌う曲を作るということで僕自身も刺激を受けました。以前、僕を東京混声合唱団のアーティスト・レジデントに呼んでくれた指揮者の山田和樹さんは、「大ちゃんの曲は楽譜を見ると簡単なようでいて、実際には自分で思っているほど簡単じゃないからね」と言われました。自分では小学校中学校の子どもたちでも歌えるように作ったつもりですが、さて、ウィーン少年合唱団はどんなふうに歌いこなしてくれるでしょうか。
コンサートにいらっしゃるお客様の中には「藤倉大」がどんな作曲家なのかまったくご存じない方も多いでしょう。お馴染みの名曲を聴きに来てみたらちょっと変わった曲が混じっていた。そういうことがあってもいいじゃないかと思っています。楽しんで聴いていただければ幸いです。


《公演情報》
住友生命ウェルビーイングコンサート
ウィーン少年合唱団(ブルックナー組)
(カペルマイスター:マノロ・カニン)
日時・会場:
2026年5月3日(日・祝) 13:30 サントリーホール
2026年5月4日(月・祝) 13:30 サントリーホール
2026年5月18日(月) 13:30 東京芸術劇場コンサートホール
2026年5月19日(火) 13:30 東京芸術劇場コンサートホール
2026年6月8日(月) 13:30 東京芸術劇場コンサートホール※アフタヌーン・コンサート・シリーズ2026-2027
2025年6月20日(土) 13:30 東京芸術劇場コンサートホール
2025年6月21日(日) 13:30 東京芸術劇場コンサートホール
他 全国公演スケジュールは特設サイトをぜひご覧ください!
https://wsk.japanarts.jp/


◆ウィーン少年合唱団のプロフィールは下記をご参照ください。
https://www.japanarts.co.jp/artist/wsk/

おすすめの公演情報

住友生命ウェルビーイングコンサート ウィーン少年合唱団 (カペルマイスター:マノロ・カニン)

  • 13:30 サントリーホール Suntory Hall
  • 13:30 サントリーホール Suntory Hall
  • 13:30 東京芸術劇場コンサートホール Tokyo Metropolitan Theatre Concert Hall
  • 13:30 東京芸術劇場コンサートホール Tokyo Metropolitan Theatre Concert Hall
  • 13:30 東京芸術劇場コンサートホール Tokyo Metropolitan Theatre Concert Hall
  • 13:30 東京芸術劇場コンサートホール Tokyo Metropolitan Theatre Concert Hall
  • 13:30 東京芸術劇場コンサートホール Tokyo Metropolitan Theatre Concert Hall
公演情報はこちら
住友生命ウェルビーイングコンサート ウィーン少年合唱団 (カペルマイスター:マノロ・カニン)

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