2025/12/11

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【第19回ショパン国際ピアノ・コンクール優勝者来日記者会見を開催!】


ジャパン・アーツがショパン・コンクールの公式企画としてポーランド国立ショパン研究所の協力のもと実施する優勝者来日公演に際し、駐日ポーランド大使館でエリック・ルーの来日記者会見を開催しました。
会見のレポートを朝岡久美子さんの取材でお届けします。


12月10日、駐日ポーランド共和国大使館で「第19回ショパン国際ピアノ・コンクール優勝者エリック・ルー来日記者会見」が行われた。12月15日~16日に東京で開催される優勝者リサイタルに先立つ公式会見だ。

会見は数多くの報道陣や関係者が集う中、ポーランド広報文化センター所長 ウルシュラ・オスミツカ氏の挨拶で始まった。

続いてジャパン・アーツ代表取締役社長 二瓶純一氏から今回のリサイタルの概要とスポンサー企業各社への感謝の言葉が述べられた。

続いて特別協賛企業を代表してUBSアセット・マネジメント代表取締役社長 キース・トゥルーラブ氏が登壇。同社のアート分野の支援における理念や哲学など、興味深いメッセージが語られた。

続いてポーランド国立ショパン研究所広報スポークスマンのアレクサンデル・ラスコフスキ氏からは、10月にワルシャワに集った数多くの日本のメディア陣に感謝の気持ちが述べられるとともに、同コンクールが他のコンクールと比べて注目度が高い理由や、受賞者たちにとってどれほど同コンクールでの受賞が「未来につながる」ものであるかという点について言及された。特に後者に関しては、日本での一連のコンサートへの出場が受賞者たちにとって大きなメリットになっている点についても触れ、「ジャパン・アーツと日本のメディアの協力なしには彼らの夢を実現することはできない」と今一度、深い感謝の気持ちが伝えられた。

そして、いよいよルーが登場。壇上に置かれたピアノでワルツ作品62-2と作品42を演奏。特に二曲目では、ルーの持ち味である詩情に満ちたフレージングに加え、緩急のしなやかさと洒脱なアクセント、そして華やかなフィナーレを聴かせ、優勝者の実力を証明した。


続いてはラスコフスキ氏とルーによるトーク形式の壇上インタビュー。

「優勝後あなたの人生はどう変わったか?」という問いに対して、「恐らく5年、10年後にじっくり感じるのだと思うが、夢が実現し、人生のマイルストーンとなったことは確かです」と答え、「あなたにとってショパンとは?」という問いに対しては、「もちろん天才だと思いますし、神の領域の人です。39年の平穏ではなかった人生の中で培われた彼の精神性が200年を経た今でも我々の中で生き続け、そして評価を受けていることについて、その本質は永遠に変わることはないと感じています」と答えていた。

「ショパンに飽きることはないか?」という質問に対しては、「身体は少し疲れていますが、ショパンの音楽に飽きることはありません。特に今回演奏する後期の作品は向き合うたびに理解が深まっていきます」と完璧な応答。

他にも印象深かったのは、「ショパンの人間性が今の世界にどのようなことをもたらすと思うか?」という問いに対して、「ショパンの生きた時代にも戦争はあった。それは人類が進化しても変わらない。ただ、闘いに関わる国家のリーダーがバッハやショパンの音楽に触れていたとしたら、もう少し状況は変わっていたかもしれないと思います」と真摯に答えていたことだ。

終始、哲学的な言葉で淡々と語るルーに対してラスコフスキ氏から、「あなたが哲学者と言われる理由がわかりました」というユーモアあふれる言葉が贈られ、お開きとなった。とりわけ“哲学的”という言葉に、今回のリサイタルでも予定されている、深い精神性や思索が求められる60番台の作品やソナタ第三番などの演奏に大いに期待を持たせる幕切れとなった。

取材・文: 朝岡久美子


【公演情報】
UBS×三井住友信託銀行 presents 第19回 ショパン国際ピアノ・コンクール2025 優勝者リサイタル
2025年12月15日(月)19:00 東京オペラシティ コンサートホール 
2025年12月16日(火)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール

【曲目】
ショパン:
ノクターン 第7番 嬰ハ短調 Op.27-1
ポロネーズ 第5番 嬰ヘ短調 Op.44
舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
ポロネーズ 変イ長調 Op.61「幻想」
***
ポロネーズ 第9番 変ロ長調 Op.71-2
ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 Op.58(12/15東京オペラシティ)
ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 Op.35 「葬送」(12/16東京芸術劇場)

[特別協賛] UBS証券株式会社 UBSアセット・マネジメント株式会社
      UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント株式会社
      三井住友信託銀行株式会社
主催:ジャパン・アーツ
後援:駐日ポーランド共和国大使館、ポーランド広報文化センター

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