2025/11/25

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世界一流オケメンバーによる豪華アンサンブル「フィルハーモニクス」が特別なプログラムで送る2公演

Daniel Ottensamer

(c) Andrej Grilc

「フィルハーモニクス ウィーン=ベルリン」は、実力・人気ともに世界で最も評価の高いオーケストラ、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のメンバーとその仲間たちによるアンサンブル。弦楽五重奏にクラリネット、ピアノという特別な七重奏編成、そしてメンバーによるオリジナルや編曲作品を演奏するが、そのジャンルはクラシックにジャズ、ラテン、ポップスなど実に多彩である。それを超絶技巧と美音で奏でるのだから圧倒されざるを得ない。世界でも大人気の彼らの1年ぶりの来日公演が行われる。今回はクラリネット奏者であり、コンサートのプログラミングを主に担うダニエル・オッテンザマーにお話を伺った。

取材・文:長井進之介(音楽ライター)

「フィルハーモニクスは200曲におよぶ実に多様なレパートリーをもっており、基本的には“今お届けしたいもの”をコンサートで演奏しています。そのためヨーロッパではコンサートの最中に曲を決めるということもしばしばです。今回は日本の皆様により楽しんでいただくために“Dance”(昼公演)、”Love”(夜公演)という二つのコンセプトでプログラミングを行いました。“Dance”については、レパートリーのなかに舞曲の性格の強いフォルクローレ作品が多いことから決めたテーマです。“Love”は《ロミオとジュリエット》に《利口な女狐の物語》、二つの組曲を中心にしたプログラムを組んでいったところ生まれたテーマです」

フィルハーモニクス

今回の公演では新曲も披露されるという。

「まずは魅力的なフランス映画『アメリ』のワルツです。この曲は両公演で演奏します。それぞれの公演で違った表情になると思うのでぜひ聴き比べていただきたいですね。そして官能的かつ超絶技巧満載のピアソラの《アレグロ・タンガービレ》、そして《利口な女狐の物語》組曲です。前衛的な部分とものすごく美しい瞬間のコントラストをぜひ味わっていただきたいと思います」

非常に多岐にわたる彼らのレパートリー、多くの編曲と作曲はヴァイオリンのセバスチャン・ギュルトラー、チェロのシュテファン・コンツが担当している。

「ふたりともまったく違うスタイルをもった作曲家ですが、さまざまなジャンルに精通しており、さまざまなジャンルの楽曲を書いたり編曲することを得意としています。それぞれの作風についてもご注目いただいきたいですね」

なお、今回の公演ではコントラバスのエーデン・ラーツが怪我による休養のため、ヘルベルト・マイヤーを迎えての演奏となる。

「半年の療養が必要ということで心配していたのですが、手術は無事に成功し、静養中です。私たちはずっと同じ7人で演奏してきたので、エーデンがいない分をどうするか、ということはものすごく悩みました。そして話し合いを重ねる中でヘルベルトにお願いをすることにしたのです。彼はウィーン・フィルの仲間でありとても信頼のおける方ですし、室内楽をご一緒する機会も多いのです。そして様々なジャンルについての理解も深い。すでにウィーンやアジアのいくつかでは彼と公演を行い、大成功を収めました。ヘルベルトは私たちの音楽を深く理解し、また彼からもすばらしい音楽を私たちに提示してくださるので、また違ったフィルハーモニクスの音楽をみなさまにお届けできるのが楽しみです」

フィルハーモニクス

フィルハーモニクスの演奏は技術や表現力の多彩さはもちろん、常にメンバーが心から音楽を楽しんでいる姿が印象的だ。

「私たちは家族のように意見をかなり直接的に言い合っています。それによって、より効果的な話し合いができ、さまざまな面で仕事がスムーズに進んでいるのです。また常にお互いの演奏をよく聴き、変化にも敏感に対応することができているので、ステージごとに違った雰囲気や空気感をお届けできているのだと思います。これは子供時代からお互いをよく知っており、自然と結成されたアンサンブルだからこそできることでしょう。私たちだからこそ奏でられるサウンドを、ぜひリラックスして、心から楽しんでいただきたいです」

 音楽性の幅広さと共に確かな技術があるからこそ彼らの音楽は実現できている。卓越した技術と幅広い音楽性、そして厚い信頼関係によって作り上げられるサウンドは今年も多くの聴衆を魅了するはずだ。

フィルハーモニクス

 

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