2025/9/3
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【公演レポート】プレトニョフが20年ぶりにシンガポールに客演 自由と規律 エネルギーに満ちた演奏で魅了
指揮者、ピアニスト、作曲家でもある世界的巨匠ミハイル・プレトニョフ。
8月29,30日、シンガポールのエスプラナード・コンサートホールで行われたシンガポール交響楽団定期演奏会に、指揮者として登場しました。
2003年にピアニストとして出演して以来、実に20年以上ぶりの客演となりました。
プログラムは、シンガポールの建国60周年を祝うかのようなショスタコーヴィチ《祝典序曲》、プレトニョフ自身の作曲による《トランペット協奏曲》(ソリスト:セルゲイ・ナカリャコフ/アジア初演)、そしてチャイコフスキー(プレトニョフ編纂)《白鳥の湖》組曲。
いずれもプレトニョフが熟知し尽くしたレパートリーで、独創的な音楽世界が鮮烈に描き出されました。
独特なリハーサルスタイルで知られるプレトニョフ、ほとんど話すことなく、必要な指示のみが的確に伝えられ、短時間で音楽を練り上げられていきます。指揮の動きは最小限ながら、楽曲に対する深い洞察とユニークな音楽的ビジョンが明確に示され、自由と規律が絶妙に融合されています。
シンガポール交響楽団はその期待に見事に応え、エネルギーに満ちた演奏を展開。ショスタコーヴィチでは祝祭的な輝きがホールを満たし、プレトニョフのトランペット協奏曲ではナカリャコフが圧巻の妙技を披露しました。フィナーレの《白鳥の湖》では、プレトニョフ独自の編纂による緊密な構成と劇的な展開が、会場全体を陶酔の渦に巻き込みました。
圧巻のシンガポール公演の余韻を携え、プレトニョフの音楽が再び日本にやってきます。
高関健指揮、京都市交響楽団との共演により、モーツァルトのピアノ協奏曲第24番と第26番「戴冠式」を堪能できる、一夜限りの演奏会です。
ピアニストとしてのプレトニョフが、どのようにモーツァルトを描き出すのか―その期待はますます高まります。
【公演情報】
Rohm Music Foundation Ken Sato Memorial Concert Vol.5
~世界の巨匠が奏でる極上のモーツァルト~
日時: 2025年10月31日(金) 19:00開演
会場: ロームシアター京都メインホール
ピアノ:ミハイル・プレトニョフ (ピアノ)
高関健 (指揮) 京都市交響楽団 (管弦楽)
曲目:
モーツァルト:交響曲 第1番 変ホ長調 K.16
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第24番 ハ短調 K.491
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第26番 ニ長調 K.537 「戴冠式」
https://www.rmf.or.jp/jp/topics/event_calendar/ken-sato-memorial-concert-vol-5?instance_id=364