2013/8/26

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“世界の舞姫” ディアナ・ヴィシニョーワ 電話インタビュー

“世界の舞姫” ディアナ・ヴィシニョーワ 電話インタビュー

今年の夏、さらなる進化が大きな話題になったディアナ・ヴィシニョーワ。
マリインスキー・バレエを拠点に、アメリカン・バレエ・シアター、ボリショイ劇場でも活躍する“世界の舞姫”に、電話インタビューを行いました。

Q:「ディアナ・ヴィシニョーワ~華麗なる世界~」で、今年の夏はヴィシニョーワ旋風を巻き起こしました。次は、ジャン=クリストフ・マイヨーやカロリン・カールソンとのコラボレーションを考えているとのことですが、新しいコラボレーションから、ヴィシニョーワさんが得ることは何でしょうか?
ディアナ・ヴィシニョーワ:私は、新しいスタイル、新しいコラボレーションを、昔から一貫して追求し続けてきました。その姿勢は、今も昔も変わりません。新しい振付家、アーティストたちとのコラボレーションは“発見”の連続です。その“発見”を皆さんにお届けして、良い“驚き”を感じていただきたいと願っています。ステージを見ていただく方々に“発見”と“驚き”を感じ取っていただくと同時に、私自身も毎回のステージで、舞台上でしか生まれない何か・・・インスピレーションとでもいうのでしょうか・・・を得て、新鮮な感情を届けたいと思っています。

Q:そこで得たものが、これまで踊ってきた作品にどのような影響を与えていますか?
ヴィシニョーワ:何よりもまず、私が前に進むための、大きな力となります!
その場に足踏みしない、常に前へ、前へと歩を進めるための、促進力となってくれます。これまで踊ってきた作品も進化させる、次につなげる大切なステップになるのです。

Q:マルセロ・ゴメスとのコラボレーションは、ここ数年のことですが、「マノン」「オネーギン」「椿姫」「カルメン」と集中的に続いています。ゴメスとのコラボレーションの魅力を教えていただけますか?
ヴィシニョーワ:マルセロ(・ゴメス)とはよくアメリカン・バレエ・シアター(ABT)で共演していますが、ボリショイ劇場でも「オネーギン」を踊りました。本当に素晴らしいパートナーです!彼と一緒のステージは、自分自身がとても自然体でいられます。踊っている時にお互いを感じ合い、影響し合い、分かり合える、とてもしっくりくるパートナーです。マルセロと共演するときは、まるで化学反応が起きるように“溶け合う”とでも言いましょうか・・・そんな感じなのです。パートナーとして、とても信頼しています。

“世界の舞姫” ディアナ・ヴィシニョーワ 電話インタビュー

Q:次は、アメリカン・バレエ・シアター(ABT)の日本公演でゴメスと「マノン」を踊ってくださいますね。マノンは愛を知り、人生にもてあそばれますが、マノンをどのような女性と捉えていますか?自分の感情に率直な女性?それとも自分の意思がない女性?
ヴィシニョーワ:美しく生まれ育ったマノンは、男を惹きつけるべくして生まれた女性です。それは彼女が望んだものではありませんが、そのような人生を歩まざるを得なかったのです。それが彼女の“定め”“宿命”だったのです。と同時に、マノンは男を惹きつける自分の魅力に喜びを感じてもいましたよね。
翻弄された挙句に、マノンは真実の愛を見つけます。それは今まで男性に感じたことのない感情だったのです。
私は「マノン」を、マリインスキー劇場をはじめ、ベルリンや世界の様々なステージで踊ってきました。「マノン」や「オネーギン」などのバレエが、古典バレエと根本的に異なっていることは、ヒロインの人生をステージで自分自身のものとして、ヒロインの気持ち、苦悩や喜び、経験を舞台上で〝味わい”表現する点です。そこが、古典バレエと全く違うところです。

Q:マノンは、亡くなる時に実はホッとしたのではないでしょうか・・・実はデ・グリューの腕の中で意識が遠くなるときは幸せなのではないか…とも思うのですが、ヴィシニョーワさんはどのように考えますか?
ヴィシニョーワ:マノンの死は、ある意味では、報いを受けた死、とも言えましょう。
でもマノンは、心の底から愛せる男性に出会い、一生懸命彼を愛し、そのことで強くなりました。最後はとても強い心を持つ女性なのです。マノンの原作と、バレエとしてマクミランが振り付けた舞台は、少し違うとらえ方ができると思います。
愛するデ・グリューの腕に抱かれ死んでいくマノンが、最後には幸せを感じていたか…?
いいえ、私はそうではないと思います。最後の沼地のシーンは、マノンの絶望、デ・グリューの絶望のシーンです。運命と闘い、翻弄され、そして命が消えていく―。とても“強く、深い絶望のアダージョ”なのです。

Q:「マノン」は役に深く入り込むとはいえ、役に没頭していては踊りきれないくらいの作品です。そのバランスはどのようにとっていますか?
ヴィシニョーワ:そうですね、でも経験を積んだバレリーナなら、そのバランスはしっかりとらなければいけません。いいえ、それでは言葉が足りませんね…バランスをとるべきなのです。役作りの上で、コントロールは欠かせません。もちろん、役になりきることは必須です。演じるヒロインに入り込まなければ、ヒロインにならねばなりません。でも、形式も何もかも無視して、ただひたすら嘆き悲しむ、慟哭する、なんてことは全く無意味なことです。それはプロフェッショナルではありません。自分の思い込みで感情だけが先走って踊っても、そこから感動は生まれないでしょう。そのようなものは誰も必要としていないでしょう。
すべてに一貫して必要なのは、「芸術のプリズムを通して」表現することなのです。

“世界の舞姫” ディアナ・ヴィシニョーワ 電話インタビュー

私は近年、ドラマティックなレパートリーを多く踊っています。私のために振付られた現代の作品を多く踊れば踊るほど、ドラマティック・バレエ作品をより深く、強く理解できるようになったと感じています。何を語っているか、何を表現するべきかが、より深く判るようになりました。
「マノン」を踊り始めて、13年ほどになります。大好きな演目の一つです。

Q:最後に日本のファンに、メッセージをお願いします。
ヴィシニョーワ:日本にまだすぐ戻れることが、とても嬉しいです!アメリカン・バレエ・シアター(ABT)とは初めての来日になります。馴染み深い日本ですが、そういう意味では、また今までと違う思いがありますね。
日本に〝帰る”ことを、今から楽しみにしています!日本の皆さんの芸術に対する深い理解、そして温かさは、私にとって、いつも大きな励みです。皆さんの前で「マノン」を踊ることを、今から考えると期待で胸がいっぱいになります!


アメリカン・バレエ・シアター2014年来日公演
詳しい情報はこちらから
≪くるみ割り人形≫
 2月20日(木) 19:00
 2月21日(金) 13:00
 2月21日(金) 19:00
 2月22日(土) 13:00
≪オール・スター・ガラ≫
 Aプロ 2月25日(火)18:30
 Bプロ 2月26日(水)18:30
≪マノン≫
 2月27日(木) 18:30
 2月28日(金) 13:00
 2月28日(金) 18:30
 3月1日(土) 13:00

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