2013/2/1

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来日直前!ロンドン公演レポート(サロネン指揮 フィルハーモニア管弦楽団)

 日本ツアーを直前に控えたエサ=ペッカ・サロネンとフィルハーモニア管弦楽団だが、1月30日は、今シーズンのロンドンでのメイン・プロジェクトであるルトスワフスキ生誕100周年記念シリーズ「Woven Words(織りこまれた言葉)」が始動した。サロネンは生前ルトスワフスキと親交があり、作曲家としても深く敬愛しており、今回のプロジェクトは長年温めていた企画だという。
 このシリーズを通じてフィルハーモニア管はルトスワフスキの7つの作品を取り上げる。第一弾の今回は、比較的初期の弦楽のための《葬送の音楽》(1958年)で始まり、続いてピアニスト、クリスティアン・ツィメルマンによって初演された《ピアノ協奏曲》(1988年)がツィメルマン本人を迎えて演奏された。バルトークの没後10周年記念として構想された《葬送音楽》は、きわめて厳格な書法で書かれていながら強く訴えかける力を持つ作品で、サロネンはしなやかかつ力のこもった指揮でフィルハーモニア管の誇るストリングスから豊潤な響きを引き出していた。《ピアノ協奏曲》ではとにかくツィメルマンが圧巻の演奏! 繊細なピアニズムからオーケストラと対等に渡り合うパワー、さらにヴィルトゥオジティまで要求される曲だが、 ツィメルマンは終始オーケストラとぴたりと息を合わせ、次々と移り変わる曲想を完璧に弾き切った。最後の音を弾き終わった瞬間、聴衆から思わず感嘆のどよめきが起こったほどであった。
 プログラム後半のラヴェルの《ダフニスとクロエ》全曲においてもサロネンとフィルハーモニア管はパワー全開で、フィルハーモニア・ヴォイシズも加わり、バレエの物語が鮮やかに目に浮かぶような活き活きとした演奏を繰り広げた。ここでは管楽器奏者たちが大活躍、「パントマイム」のフルート独奏はもちろん、アルト・フルート、オーボエ、クラリネット、ホルンなどがそれぞれ魅惑的なソロを聴かせた。そして最後の「バッカナール」ではサロネンのパワーが炸裂、このコンビならではのダイナミックで切れのあるサウンドワールドを堪能できた。
(2013年1月30日、ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール)

後藤菜穂子(ロンドン在住/音楽ライター)

※東京オペラシティ コンサートホールのホームページより転載

間もなく、日本ツアーがスタート!ご期待ください。
≪サロネン指揮 フィルハーモニア管弦楽団 来日公演情報≫
2013年02月08日(金) 19時開演 サントリーホール
フィルハーモニア管弦楽団
[曲目]
ベートーヴェン:劇付随音楽「シュテファン王」序曲
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番 〔ピアノ:レイフ・オヴェ・アンスネス〕
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マーラー:交響曲第1番「巨人」

詳しい公演情報はこちらから

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