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大西宇宙のインタビュー[バリトン・リサイタルに寄せて]

待望の本格的ソロ・リサイタルは、
米国での8年に及ぶ修業時代の集大成になるようなプログラムで!
リサイタルの曲目で先ず目を惹くのは、シェイクスピアのテキストに20世紀前半、英国のフィンジが作曲した5曲からなる《花束を捧げよう》です。
ジュリアードのアーティスト・ディプロマ・コースで、演劇畑出身の演出家による演技メソッドの指導を受け、特にシェイクスピアの長台詞はみっちり憶えさせられました。400年前に書かれた言葉ですが英語のテキストとしては最高峰。曲がモダンなので現代的でお洒落。英国の名バリトン、ブリン・ターフェルのCDで初めて聴いた時からのお気に入りです。

ラヴェルの遺作である《ドゥルシネア姫に想いを寄せるドン・キホーテ》も3曲からなる連作歌曲です。
フランス語はジュリアードの隣のMETから来たコーチに厳しく仕込まれました。この曲もお気に入りです…ドン・キホーテのキャラクターがよく出ているところが好き。もっと歌われてもいい作品だと思います。ドイツの巨匠ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウも素晴らしいけれど、ベルギーのホセ・ヴァン・ダムも愛聴盤です。

オペラ・アリアも盛り沢山です。
政治的なメッセージを含み、風刺の効いた作品でもあるプーランクの《ティレジアスの乳房》から座長の前口上にあたる〈プロローグ〉や、ほぼファルセットで静かに歌うコルンゴルトの《死の都》第2幕の〈私のあこがれ〉(ピエロの歌)などを披露します。モーツァルトの《コジ・ファン・トゥッテ》と《ドン・ジョヴァンニ》は日本でも舞台で演じました。

注目はリムスキー=コルサコフやラフマニノフの歌曲に《エフゲニー・オネーギン》のアリアまで揃えた圧巻のロシアものですね。
昨年11月に55歳の若さで亡くなられたロシア人のバリトン、ディミトリー・ホロストフスキーさんが昔から僕の憧れでした。何と誕生日も同じなんです! リムスキー=コルサコフの《オクターヴ》もラフマニノフの《春の流れ》も初めて聴いたのは彼のCD、その歌唱から多くを学びました。本当にシカゴでお会いした時のことが今でも忘れられません・・・既に闘病中だったはずですが、そんなことはおくびにも出さなかった。とても器の大きい人でしたね。今回の公演は彼に捧げたいと思います。

いつか舞台で演じてみたい役柄は?
原典版がサンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で初演された(※改訂版はスカラ座初演)ヴェルディの《運命の力》のドン・カルロ役です。恐らくバリトンの役としては最重量級でレンジの幅も広くドラマティックな演技も求められる、しかも長丁場の難役。今はまだ無理ですがいつか歌いたい。それまでにいろんな役柄に挑戦してキャリアを重ねたい。幸い、魅力的なバリトンのレパートリーは数限りなくありますから!

取材・文:東端哲也
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米オペラ界を沸かせる、世界に羽ばたいた若き才能!
大西宇宙 バリトン・リサイタル
2018年6月19日(火) 19:00開演 浜離宮朝日ホール
公演詳細はこちらから