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松田理奈に聞く [ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団]

 類い稀な実力派にして容姿端麗なヴァイオリニスト、松田理奈。彼女は、10月の小林研一郎指揮/ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団の日本公演で、メンデルスゾーンの協奏曲を弾く。

 今回は、同楽団とは初、海外オーケストラとは久々の共演となる。
「私が過ごしたドイツとは異なった、ハンガリー国立フィルの方言のような歌い回しは、録音を聴いても感じます。それに東欧のオーケストラならではの個性などは、楽団にゆかりの深い小林研一郎先生からお聞きしていますので、良いマリアージュを期待しています」
 “炎のマエストロ”コバケンとはこれまでに10回近く共演し、メンデルスゾーンの協奏曲も3回演奏している。
「今年2月に、群響でメンデルスゾーン、先日は関西フィルで小品をご一緒し、『ハンガリー国立フィルもよろしく。心をこめて演奏すれば、貴女のメンコンは大丈夫だから』と言われました。これは大きな一言でしたね。先生は、ソリストを立てつつ、熱い箇所はやはり熱く燃え、壮大な構築を視野に入れながら指揮されているように感じます。しかもホールの響きとの兼ね合いなど、あらゆる面にこまかな気配りをされますので、今回指揮が小林先生であるのはとても心強いですね」
 メンデルスゾーンの協奏曲は、「小学生のときの発表会から、札響や日本フィル等との共演に至るまで」何度もステージで弾いてきた。
「ロマンティックで、美しいメロディの穏やかなうねりが魅力的。それに私は、オーケストラの前で弾くのではなく、中に包まれて演奏したい、皆とコンタクトしながら音を馴染ませ、ソロが目立つべき箇所は、技術を使って音が遠くに飛ぶようにしたいと思っています。その点メンコンは、お互いが聴き合い、包み合いながらキャッチボールする場面が随所にある曲。コンタクトを重ねながら終楽章のクライマックスに到達する流れが、とても好きです。また、響きがどこも丸く柔らかいので、弓を弦に沿わせるような音色作りができるのも素敵ですね」
 ナチュラルな艶やかさを湛えながら、確かな技巧で楽曲の特質を衒いなく表現する彼女だが、先日聴いた演奏には、温かな表情や余情が感じられた。それは母になったことの良き影響でもあろう。

「いま演奏会が楽しくて仕方ないんです。家族をはじめ周囲の協力に感謝しながら、弾ける喜びを感じています。以前は完璧主義者だったのですが、子育てで練習時間が制限される環境に置かれると、逆にミスが怖くなくなり、音楽の流れや気持ちを重視するようになりました。何か大きなことを学んだ気がします」
 かくして迎えた今年は、CDデビュー10周年。12月に記念リサイタルも行うが、ハンガリー国立フィルの公演は一つの白眉となるに違いない。
「初共演の外国オケですから、互いに生音で初印象を抱くわけです。その中でいかにシンフォニックな溶け合いを作り出すか? そこをぜひ聴いて頂きたい。もちろん全身全霊をこめて弾きますし、私も楽しみにしています」

取材・文:柴田克彦
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ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団
2016年10月31日(月) 19:00開演 東京芸術劇場 コンサートホール
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