熱情ソナタが開いたロマン派への道 シリーズ 「調の秘密」第4回 ヘ短調
寺田悦子 ピアノ・リサイタル
- ピアノ
チケット詳細Ticket Information
① 1月10日(日) 10:00a.m.~発売 夢倶楽部ネット会員
② 1月11日(月・祝) 10:00a.m.~発売 夢倶楽部会員
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④ 1月17日(日) 10:00a.m.~発売 一般
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曲目・演目Program
ベートーヴェン:ソナタ第23番 ヘ短調 「熱情」(1805年)
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シューベルト:即興曲集 D935 より 第1番 ヘ短調(1827年)
ショパン:幻想曲 ヘ短調(1841年)
ショパン:ワルツ第12番 ヘ短調(1842年)
ショパン:バラード第4番 ヘ短調(1843年)
- シューベルト:楽興の時D780,op.94より第3番ヘ短調
- ショパン:ノクターン第4番 ヘ長調 op.15-1
公演によせてMessage
寺田悦子が誘(いざな)う至高の“響きの森”
同じ調の曲はみんな同じように聴こえるのでしょうか? という斬新な問いかけで始まった寺田悦子の“調の秘密シリーズ”第2弾。3年前の同シリーズではシューベルトの遺作ソナタ3曲と他の作曲家の名曲を組み合わせて、イ長調、変ロ長調、ハ短調の世界を開示してくれた。聴き手は各調が持つ独自の世界と作曲家の個性の融合に、新鮮な驚きを覚えたと思う。
しかしそれ以上に驚嘆したのは、その調の最高の響き、即ち作曲家が思い描いていた響きを探求する寺田のひたむきさである。きっと毎日ピアノに向かって唯一無二の響きを追い求め、演奏のバランス作りに没頭しているに違いない。ステージに現れた彼女はその感覚を全身にまとってピアノに直進し、響きの森に突入する。聴き手は磨き抜かれた寺田の音楽に酔いしれるのみである。
シリーズ第2弾の幕開けは“ヘ短調”♭(フラット)4つの世界。古典派とロマン派の4人の大作曲家の名曲が並んでいる。寺田は語る。
「ヘ短調はロマン派の作曲家が好んで用いた調です。しかし古典派のハイドンの《アンダンテと変奏曲》には、前年に世を去った敬愛する友モーツァルトの死を悼むかのような異例の感情移入が感じられます。ベートーヴェンの《熱情ソナタ》はロマン主義への道を開いた革新的な作品で、私は改めてこの新しさと普遍性に感動しています。シューベルトの《即興曲》は死の前年に書かれた天国的な美しさを持つ曲。ショパンの円熟期の《幻想曲》と《バラード第4番》は、ヘ短調の作品では外せません。我々ピアニストは、黒鍵が入ることで手の位置や和声の感じが微妙に変わるため、調性は絶大な意味を持っています。私自身は、調の秘密の全てを手の内に握っている気がします」
このような形でピアノ芸術の真髄を解き明かしてくれる寺田は、ピアノ界の宝である。今回も彼女に感謝しながら、ヘ短調の響の森に酔いしれたい。
ひのまどか (音楽作家)
プロフィールProfile
寺田 悦子 Etsuko Terada(ピアノ, Piano)
<イ長調><変ロ長調><ハ短調>と3回に亘って開催されたユニークな企画、一晩の曲目をすべて同じ「調」の作品で構成し、作曲家や時代でどう違って聴こえるのかを聴き比べる ”調の秘密” シリーズ、ショパンとシューマンの生誕200周年記念イヤーを中心に展開した、ショパンのマズルカ&ノクターン全曲とシューマンの代表作を年代を追って演奏する全5回のリサイタル、モーツァルト生誕250年記念ピアノ・ソナタ全曲演奏(全4夜)、ショパン作品によるプレ・トーク付きのコンサート、2003年ロシア芸術祭でのロシア作曲家の代表作品でのソロとデュオのリサイタル、100年前のプレイエルと現代のスタインウェイを弾き比べた2014年5月のショパン・リサイタル、ワルツを中心に舞曲ばかりを集めた渡邉規久雄との「ニューイヤー・ピアノ・デュオ~人生は踊り!~」などが常に話題となり、高い評価を得ている寺田悦子。
村田節子、近藤孝子、田村宏の各氏に師事し、16歳でウィーンに留学。18歳のときに一時帰国し、東京でのオール・ショパン・プログラムでデビュー後、ウィーン国立アカデミーを最優秀賞で卒業してアメリカに渡り、ジュリアード音楽院大学院、インディアナ大学など11年間に及ぶ欧米での研鑽中の1977年、アルトゥール・ルービンシュタイン自身が審査した第2回ルービンシュタイン国際ピアノ・コンクールで第3位金賞、同年の日本ショパン協会賞、翌1978年にはリーズ国際ピアノ・コンクールに入賞し、注目を集めました。
その後は「プラハの春」国際音楽祭出演、東京や大阪をはじめとする国内各地や英国、ドイツ、フィンランド、ロシアでのリサイタル、国内外の主要オーケストラとの共演、ニューヨークのカーネギーホールでの演奏、渡邉規久雄とのデュオ・リサイタルなど第一線で活動を続け、『水晶の輝き』『真珠の粒立ち』『金細工を想わせるような細やかさ』と評される色彩感溢れる華やかなステージで、聴衆を魅了しています。
EXTONレーベルからショパン作品のCD「ノアン」「ノアン?」、レコード芸術誌特選盤にも選ばれた渡邉規久雄との2台ピアノ作品集(ラフマニノフの組曲第2番&ストラヴィンスキー「春の祭典」)をリリース。
2012年からはドイツで毎年8月に開催されているインターハーモニー音楽祭にたびたび参加し、演奏とマスタークラスを行なっています。
日本大学芸術学部大学院研究所教授。
オフィシャルホームページ http://www.etsukoterada.com/
主催・協賛
主催:ジャパン・アーツ