2020/4/30

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Artist Voice – アーティストたちの声 Vol.5

音楽を奏でるように、音楽家の言葉は、人々の心に優しく響き、大きな励ましと希望を与えてくれます。皆さまの健康をお祈りして、今日もアーティストたちの声をおおくりします。

指揮者の高関建永峰大輔、ピアニストの金子三勇士からのメッセージをお届けします。

アーティストの皆さんには、主に以下の質問にお答えいただきました。
①今、何を想い、どのようなことを考えているか。ご自由にメッセージを。
②リラックスの方法(日々どんなことをして過ごしているか、など)

高関健(指揮者)
①音楽ファンの皆様、こんにちは。指揮の高関健です。数か月前には想像さえしていなかったコロナウィルスが世界中で猛威を振るい、私たちに襲いかかり、多くの人々の命を奪っています。本当に恐ろしいです。誰もが経験したことのない困難の中、先頭に立って治療にあたられるお医者様、医療に携わる皆様、これ以上の感染を抑えるために最善を尽くしてくださっている皆様、そして私たちの生活を守るために働いてくださる皆様に敬意を表し、心から感謝致します。

私たち音楽家も今は活動を停止、人と人との接触を避け、ウィルスまん延の終息を待っています。舞台に立つことをひたすら我慢し、待ち続けています。普段の私たちは、音楽の素晴らしさを、聴いてくださる皆様と共有できることを願いながら、演奏のプランを考え、練習に没頭します。
さらにオーケストラや合唱は一人ひとりの音や声を聴き合わせ、表現やバランスを調整しながら演奏を作っていきます。
その過程は時には厳しいですが、本当にやりがいがあるものです。しかし現在、私たちは集まって一緒に音を出すことができません。今も予定の公演が中止になるお知らせをいただくことがあり、先の見えない日々が続きます。自分が何をするべきか、音楽家を続けていかれるのか、考え込んでしまうこともあります。
しかし、すっかり空いてしまった時間の中で、好きな作品のスコアを拡げて読んでいくと、作曲家のアイディアや響きがどんどんよみがえってきます。これまで以上に鮮明に浮かび上がってくることさえあります。今までどうして気がつかなかったんだろう…?音楽のことを考えるのは、やはり楽しくて仕方がありません。

誰も経験したことのない辛い時期をなんとか乗り越えて、再び舞台に立つことができるようになる時、私たちはこれまでよりぐっと濃く豊かな表現ができるようになっていると思います。日本の音楽家は素晴らしいです。音楽が大好きな皆様には、これまで以上に演奏を楽しんでいただけると確信します。その日が来るまで、力を十分に蓄えながら、今は“Stay Home”、静かに待つと心に決めています。

②持ち前の怠惰な性格が幸いして、現状をあまり気にしていません。歩くのは苦にならないので、体力維持のために近くのドラマ「金八先生」の土手、河川敷の中を散歩しています。毎日1時間半、10,000歩が目標です。歩きながらブルックナーやマーラーの交響曲を脳内で再生して記憶力の維持にも努めます。家では時間がたっぷりあるので、課題となっていた重要な作品を、楽譜だけでなく校訂報告や作曲家についての研究を少しずつ読んでいます。最近出版されたベートーヴェン新全集版「第9交響曲」をようやく読み直したところです。年末の演奏が実現したら、これまでとは違った表現を聴いていただけると思います。 <写真①:ベートーヴェン第9交響曲の最後><写真②:ブルックナー第8交響曲4楽章>


永峰大輔(指揮者)オススメの本
https://note.com/eihome2002/n/nd29de6fcc3a3


金子三勇士(ピアノ)

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