2019/4/19

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[マレク・ヤノフスキ指揮ケルン放送交響楽団]『チョ・ソンジンがピアノ協奏曲第3番を弾く』~現地レポートが届きました!

2月23日にビーレフェルトで行われた演奏会の現地レポートが届きました。
『ヤノフスキ指揮ケルン放送交響楽団のベートーヴェン チョ・ソンジンがピアノ協奏曲第3番を弾く』~ぜひ、ご覧下さい。この2月、指揮者のマレク・ヤノフスキが80歳の誕生日を迎えた。この節目に、近年ヤノフスキが結びつきを深めているケルン放送交響楽団とケルン、ビーレフェルト、ベルリン、そして彼が育ったヴッパータールの4都市を巡る短期間のツアーが実現した。

筆者が聴いたのは2月23日にビーレフェルトで行われたコンサート。会場のルドルフ・エトカー・ハレは1930年に完成したシューボックス型のホールで、知名度はさほど高くないかもしれないが、響きの良さで知られる名ホールだ。オール・ベートーヴェンのこの夜のプログラムは、チョ・ソンジンがソロを務めたピアノ協奏曲第3番で幕を開けた。一昨年のベルリン・フィルへのデビュー公演でも感じたことだが、チョの演奏には若さゆえの力みや浮き足立ったところがまるでない。ピアノが力強く主題を提示するところから、このハ短調協奏曲にふさわしい意思と格調の高さを感じさせる演奏となった。叙事詩のような深みをたたえていた第1楽章のカデンツァ、そして続くラルゴでの深い呼吸。特にピアノの繊細なアルペジオにファゴットとフルートが絡む場面では、ベートーヴェンが苦難の中でつかもうとした天上の世界がほのかに現出したかのような趣があった。フィナーレでは深刻さの中にも軽妙さが混じり合い、ヤノフスキ指揮のオーケストラとがっぷり四つに組み合う感興が生まれた。

後半の交響曲第3番《英雄》は、近年では珍しい倍管編成によるもので、舞台上は音楽家であふれんばかり。ヤノフスキのベートーヴェンといえば、個人的には2009/10年シーズンにベルリン放送響と行った交響曲ツィクルスが懐かしく思い出される。あれからもう10年も経つのかという思いとともに、冒頭の2つの和音が鳴り響いたのだが、ヤノフスキの音楽はまったく年老いていない!楽器編成ではオールドスタイルを採りながら、その引き締まった緻密な響きはモダンでさえある。速めのテンポでありながらも、80歳の今日まで無骨に音を積み上げてきたこの指揮者ならではの円熟味がそこここで聴かれる。第1楽章のコーダで音楽がクレッシェンドで膨らむところの雄大さ、そして地が裂けるような迫力を放った葬送行進曲のフーガ。アタッカで始まる第4楽章でも、ヤノフスキは時に前のめりになるほどのアグレシッブさを失わない。それがさらなる熱を生み、他の楽章に比べて一段劣ると評されることの多いこの交響曲のフィナーレで、全曲にふさわしい頂点が築かれたのだった。

2016年になってからバイロイト音楽祭にデビュー、そして今年9月からはドレスデン・フィルの首席指揮者に返り咲くなど、ヤノフスキは予想外の出来事で私たちを驚かせている。このマエストロがこれからどのような高みへと歩もうしているのか、期待はふくらむ。

中村真人(ジャーナリスト/在ベルリン)

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巨匠ヤノフスキ、ベートーヴェンの真髄に迫る!
ケルン放送交響楽団 指揮:マレク・ヤノフスキ ピアノ:チョ・ソンジン
2019年11月26日(火)19:00 サントリーホール

公演詳細はこちらから

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