2018/10/17

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マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団 オーケストラから見たヤンソンス①

待望の来日を指折り数えてしまう、ヤンソンス&バイエルン放送響。今回コンサートマスターと首席ヴィオラ奏者、首席トランペット奏者にインタビューを行いました。『人間性豊かなヤンソンスとのコンビでは人生の中で最高の音楽体験を味わっている』『どのコンサートも最高レベル』『常にマエストロと楽員の心の結び付きを感じる』とヤンソンスに畏敬の念を込める3人が語る、バイエルン放送響ならではのマーラー:交響曲第7番。ぜひご覧下さい!

オーケストラから見たヤンソンス①
マーラー:交響曲第7番「夜の歌」、ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」に寄せて

11月に日本公演を行うマリス・ヤンソンス指揮/バイエルン放送交響楽団は、今や世界最高クラスのコンビネーションを誇っている。そこで折しも来日中のメンバーに、同楽団の特徴や今回最注目の演目、マーラーの交響曲第7番「夜の歌」などについて話を聞いた。語ってくれるのは、「ハンブルク・フィルのコンサートマスターを経て、2009年からバイエルン放響で同職を務めている」アントン・バラコフスキー(以下バラコフスキー)、「ベルリン・フィルで11年間ヴァイオリンのトゥッティ奏者を経験後、1997年から同楽団の首席ヴィオラ奏者を務めている」ヘルマン・メニングハウス(以下メニングハウス)、「1995年から首席トランペット奏者を務めている」ハネス・ロイビン(以下ロイビン)の三人。いずれも要となるプレイヤーたちだ。

まず三人は口を揃えて、ヤンソンス(彼らは畏敬の念をこめながら『マエストロ・ヤンソンス』と呼んでいたのだが、以下敬称は省略)率いるバイエルン放響の素晴らしさを語る。
バラコフスキー「世界有数のベスト・オーケストラです。特に人間性豊かなヤンソンスとのコンビネーションにおいては、これまでの人生の中で最高の音楽体験を味わっています。私たちの公演は、毎回が特別なコンサート。長旅などでどんなに疲れていても、一旦舞台に上がれば全精力を投じて音楽に集中するのがこの楽団の特徴でもあります」
メニングハウス「私はベルリン・フィルと比較できる立場にあるのですが、共に世界のトップクラスで、どのコンサートも最高レベルです。特にバイエルン放響に入ってからは、もう少しうまくできたのではないかとの感覚を一度たりとも覚えたことがないほど、ベストな状態で演奏しています」
ロイビン「この楽団の素晴らしさは、楽員全員が常に向上を目指していること。入団して23年間いつもそれを感じています。ヤンソンスは奏者たちが互いに聴き合うことをモットーにし、コミュニケーションを大事にしています。彼は指揮者と楽員の心の結び付きなくしていい音楽はできないと考えていますし、私も彼との音楽的な結び付きを常に感じています」

マーラーの交響曲第7番は、曲自体が特別な作品でもある。
ロイビン「私はマーラーに会えたら質問をぶつけてみたい箇所が複数あり、ずっとその謎解きを繰り返しているような感覚をもっています。例えば、なぜテノール・ホルンを使っているのか? 弦のリズムに叫ぶようなテノール・ホルンが重なるという、典型的な交響曲とは異なる方法で曲を始めた訳は?マンドリンとギターを使う理由は?……など」
メニングハウス「非常に複雑な楽曲ですが、感情はスコアから全部読み取れると感じています。この曲は、各楽器が全体のアコースティックのバランスを考えながら、同一の解釈で演奏して初めて成功するのではないかと思っていますし、それは指揮者の力量にも関わってきますね」
バラコフスキー「私はこの作品自体が未来に向けた音楽ではないかと思っています。100年以上前に作られた曲ですが、研究していけばまだまだ色々な解釈が出てくる……。私自身は、第1楽章は戦争がテーマで始まると考えています。暴力的な力が少しずつ顔を出していき、第2楽章の夜の曲では愛情が現れる。そしていかに危険に晒され、暴力を受けようと終楽章では歓喜に変わる。だからこそ人間が存在し続けるのだ……といった壮大なドラマが含まれていると感じています」

それをヤンソンスは見事に表現する。
バラコフスキー「私はコンマスとしてあらゆる質問をぶつけ、ディスカッションすることがあります。そのときヤンソンスは『マーラーが作曲したときには、テーマのバランスなどの計算が完全に出来上がっていたと信じている』と話していました。彼は曲のあるべき姿が明確に頭に入っています。リハーサルでは、それぞれの楽器にどこが重要であるかを指摘します。さらに楽器ごとに弾かせ、それを全員が聴くことで皆に全体像を把握させます。またヤンソンスは私たちとのコンタクトを通して、これほど大きな楽曲をまるで室内楽のように感じさせてくれます」
次回、オーケストラから見たヤンソンス②もお楽しみに!

聴き手:柴田克彦(音楽ジャーナリスト)

▼バイエルン放送交響楽団の新しい瓦版は下記画像をクリックするとご覧いただけます▼


現代オーケストラ芸術の極み!! 巨匠&世界最高峰の楽団
マリス・ヤンソンス指揮 バイエルン放送交響楽団

2018年11月22日(木) 19:00開演 東京芸術劇場 コンサートホール
《プログラム》
 マーラー:交響曲第7番 ホ短調 「夜の歌」
2018年11月26日(月) 19:00開演 サントリーホール
《プログラム》
 リスト:ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調 S. 124/R. 455 (ピアノ:エフゲニー・キーシン)
 R. シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」 作品40
2018年11月27日(火) 19:00開演 サントリーホール
《プログラム》
 リスト:ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調 S. 124/R. 455 (ピアノ:エフゲニー・キーシン)
 ストラヴィンスキー:バレエ音楽 「春の祭典」
公演詳細はこちらから

 

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