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【公演レポート】フィリップ・ジョルダン/バイロイト音楽祭2017年 『ニュルンベルクのマイスタージンガー』

フィリップ・ジョルダン
バイロイト音楽祭2017年『ニュルンベルクのマイスタージンガー』

フィリップ・ジョルダンが2017年7月25日(火)~8月27日(日)にかけて、バイロイト音楽祭に出演!公演レポートが届きましたのでぜひご覧ください。今年11~12月のウィーン交響楽団の来日公演に期待が高まります!! 2020年、ウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任することが発表された、スイス出身の指揮者、フィリップ・ジョルダン。バイロイト音楽祭への登場は、2012年の『パルジファル』以来2度目。事前の雑誌へのインタビューでは、「スイスの生まれであることもあり、ドイツにおけるバイロイトの熱狂にやや距離をとって接していたが、実際に関わるようになって、それが自分の誤解であった」ことを率直に認め、純粋にワーグナーを愛し、献身的にその作品を演奏したいと思う人たちの集まりであるこの場を称賛している。
 バリー・コスキー演出による『マイスタージンガー』は、近年では稀に見る成功を収めた。作品・上演史とは切り離せないにもかかわらず、いままで真正面から取り上げられることのなかった反ユダヤ主義など、この作品の意義を問い直す、まさにこの劇場で上演するからこそ意義のある演出を作り上げたためである。ワーグナーがコジマへの手紙で自分をザックスと呼んでいたこと、「自分はエーファと結婚したのだ」と言及した事実を踏まえ、ワーグナーは、劇中の登場人物であるヴァルターにもザックスにもみずからを擬えていた、という出発点から物語を構築した手腕は卓越したものであった。
 また、演出家がワーグナーの音楽を知り尽くしていることにも驚かされた。細かな音楽とシンクロするように、さまざまに動き回るマイスターたち。指揮者ジョルダンと演出家コスキーの意思疎通が完璧にはかられており、演出がある程度の「間」を必要とする場合には、それをきちんと音楽が待つ、という瞬間もあちこちに見られた(第3幕冒頭、ザックスのモノローグや、ヴァルターが自作の歌の第1節を歌い終わり、第2節を考える手前など)。お互いがお互いを邪魔するのではなく助け合い、歌手にも十分に演じ、歌う余裕を与えており、オペラにおいて稀有な舞台が実現していた。次世代の音楽界を担うジョルダンが秋の来日でどのような境地を聴かせてくれるか、期待は尽きない。

広瀬大介 (音楽評論家)

◆フィリップ・ジョルダンのプロフィールなどアーティストの詳細
http://www.japanarts.co.jp/artist/PhilippeJORDAN

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ジョルダンが聴衆を熱くする、ウィーン響の覚醒と新時代!
フィリップ・ジョルダン指揮 ウィーン交響楽団 ヴァイオリン:樫本大進
2017年12月1日(金)19:00・3日(日)14:00 サントリーホール

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