2016/10/17

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マリインスキー・オペラ 日本公演2016 最終日

2016年10月16日の公演をもちまして、マリインスキー・オペラ 2016年日本公演の幕を閉じました。最終日の「エフゲニー・オネーギン」は、舞台・歌手・オーケストラ、全てに魅了された夜となりました。公演中は、たくさんの方にご来場とご声援を頂き、誠に有難うございました。

<タチヤーナ役のエカテリーナ・ゴンチャロワとオルガ役のユリア・マトーチュキナ>
<「手紙の場」は圧巻>
<タイトルロールを歌ったロマン・ブルデンコと、アリアで涙を誘ったレンスキー役のディミトリー・コルチャック>
<第3幕冒頭のポロネーズ、舞踏会のシーンも美しく会場中を魅了しました。>
photo by Yutaka Nakamura

また、この日『ドン・カルロ』のエボリ公女、『エフゲニー・オネーギン』のオルガを歌ったユリア・マトーチュキナのインタビューを行いました。『エフゲニー・オネーギン』でタチヤーナの妹オルガを演じたメゾ・ソプラノのユリア・マトーチュキナ。『ドン・カルロ』ではエボリ公女の役でシリアスなアリアを絶唱し、聴衆を熱狂させた彼女、オルガ役では別人のようにお転婆ではっちゃけた姿を見せたくれた。2015年のチャイコフスキー国際コンクールの声楽部門の優勝者であり、ゲルギエフからも信頼の厚い期待の若手スターだ。出番を終えた二幕の後の休憩時にインタビューを行った。
―今回の来日公演ではエボリ公女とオルガという全く違った性格の役を見せてくれましたが、どちらの役がよりマトーチュキナさんの声域に合っていますか?
「ふたつともメゾの定番の役なのですが、それぞれ難しいところがあります。オルガの方が少し短いですが…チャイコフスキーは、観客として聴くと「素晴らしい、天才だ」という作曲家ですが、歌手にとっては難題を仕掛けてくる人なんですよ。ヴェルディのほうが、イタリア・オペラの王道ですし、歌いやすい作曲家だと思います。でも、エボリはメゾにとっては声域が高すぎますね」

―あなたが歌ったエボリの『酷い運命よ』は、素晴らしい出来栄えでした。あの歌で、振り切った感情表現をする歌手もいますが、マトーチュキナさんは抑制された独自の解釈で歌われていたと感じました。
「エボリに関しては、色々な歌手が歌う映像を見て、読めるものはすべて読み、部屋の中で一人時間をかけて突き詰めて役作りをしました。あのシーンでは、すべてのパッションが燃えて炎になっていますよね。彼女は喧嘩できる人とはすべて喧嘩をし、色々な間違いを犯して、最後は自分の運命について泣くしかないところまで追い込まれていきます。ロシア人は怒っているとき着ているシャツを開いて胸を見せますが、エボリはシャツを開き切って、もはや何もない状態になっているのです(笑)」
―(笑)。ロシア人だから演じられるエボリなのですね! 『エフゲニー・オネーギン』では、別人のように元気いっぱいのオルガで、歌唱はもちろん、あなたが演じる姿を見ているのが楽しくて仕方がありません。
「まあ、ありがとう(笑)。私は日本が大好きなんですよ。前回(2011年)に来たときも、温かく迎えていただき、この国は特別だと感じました。舞台にいると、観客の皆さんからの温かい気持ちが伝わってくるんです。私としても、150パーセントお客さんに与えなくては…と思って歌っています」
―二つのオペラを観て、マトーチュキナさんの歌っているオペラは、すべて観たいと思いました。レパートリーは多彩で、『ホフマン物語』のニクラウスや、カルメンの主役も歌われているのですね。
「今度、ウラジオストックのマリインスキーの新劇場で『カルメン』を歌うことになっています。観にいらっしゃいませんか? 日本にもぜひまた、戻ってきたいと思います」
マトーチュキナ 取材・文:小田島久恵(音楽ライター)

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マリインスキー・オペラ 日本公演2016 特設サイト
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