2016/9/23

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ユリア・フィッシャー 来日直前インタビュー

10月に来日するユリア・フィッシャー。ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団のシーズンオープニング公演ゲネプロ直前にインタビューを行いました。

日本で演奏されるのは今回実に12年ぶりになります。多くのファンがあなたのリサイタルを楽しみにしています。
 久々に日本の皆さまの前で演奏できることを今から心待ちにしています!
私が初めて日本で演奏したのは1996年、まだ13歳のときでした。思い出深いのは、2003年にロリン・マゼール指揮バイエルン放送響とサントリーホールでブラームスの協奏曲を演奏したときのことです。終演後、多くのファンの方にサインや記念撮影を求められ、ホテルに戻ったのは2時間後でした。ああいう経験は初めてだったので(笑)、日本の愛好家の方々の熱心さに驚き、とても感銘を受けました。

今回のリサイタルでは3つの曲目を用意されています。どういう理由でこのプログラムを組まれたのでしょうか。
 今回共演するピアノのマルティン・ヘルムヒェンとはこれまで何度もシューベルトを共演してきました。録音もしています。それでまずシューベルトのソナチネ第1番を考えました。ソナチネは「小さなソナタ」という意味ですが、シューベルトのそれはとても「大きな」音楽です。せっかくの機会に別の作曲家のソナチネを組み合わせられないかと思い、ドヴォルザークのソナチネが浮かびました。この曲は過小評価されていて、なぜか子どもが弾く作品ということになっています。実は、チェロ協奏曲と作曲時期が近く、彼の円熟期の作品です。大きな舞台でもっと演奏されるべき音楽なので、今回選びました。最後のブラームスのソナタは、マルティンとかねてから共演したいと思っていた演目です。

フィッシャーさんといえば、ヴァイオリニストだけでなく、ピアニストとしての顔も持ち、ソリスト、室内楽奏者、さらに大学教授と非常に多才な活動で知られています。いま特に力を入れている分野は何でしょうか。
 私の活動の中心は、常に「音楽」だと申し上げましょう。もちろんピアノよりヴァイオリンの方が私にとって重要ですが、結局のところ重点を置いているのは「音楽をすること」なのです。私は学生にレッスンをするのも大好きですし、室内楽とソリスト活動を比較してどちらがより上と言うことはできません。今晩演奏するヘンツェも、モーツァルトと同じぐらい興味を持っています。私にとっては、いつも同じ曲ばかり弾くのはハッピーではなく、毎年何か新しい作品に取り組むことを大切にしています。来年はブリテンの協奏曲やシマノフスキのソナタを初めて披露する予定です。

 インタビューが終わると、コンツェルトハウス管弦楽団とのゲネプロを直後に控えているユリアはすぐにヴァイオリンのケースを開いて準備を始めた。いまの楽器について聞いてみると、「1742年のグァダニーニです。2004年の日本ツアーから帰った直後に出会いました。この楽器とは初めての日本旅行なので楽しみにしています」と笑顔で話してくれた。

中村真人(在ベルリン/ジャーナリスト)

ユリア・フィッシャー ベルリン・コンツェルトハウス管シーズンオープニング公演に登場レポート
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艶やかさの中に溢れる精緻な気品
ユリア・フィッシャー ヴァイオリン・リサイタル
2016年10月15日(土) 14:00開演 東京オペラシティ コンサートホール
公演詳細はこちらから

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