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イム・ジヨンのインタビュー[『山形交響楽団特別演奏会』さくらんぼコンサート2016 東京公演]

イム・ジヨン~「夢のコンクール」から一年、大きく飛翔する21歳の俊英

 昨年のベルギーのエリザベート王妃国際コンクールの昨年の優勝者は、韓国のヴァイオリニスト イム・ジヨンだった。その演奏の見事さもさることながら、海外留学経験のないわずか20歳の女性だったことが話題となったが、そんな時の人ジヨンが、飯森範親の指揮する『山形交響楽団特別演奏会』さくらんぼコンサート2016 東京公演と共演する。21歳の俊英に話を訊いた。

ジヨン-両親が自分の好きなことを見つけなさいという考え方だったので、小さい頃からピアノやチェロ、フルート、歌やスポーツ等いろいろ習いました。7歳でヴァイオリンを手にしたときにこれが私の楽器だと思ったのです。

-ジヨンは10歳か11歳の時にプロになろうと決心し、高校一年で国立総合芸術大学に入学してナムユン・キム女史に師事する。女史はズッカーマンやキョンファらを育てたジュリアード音楽院の名伯楽ガラミアンの弟子で、多数の国際コンクールの受賞歴を誇る名ヴァイオリニストだ。

ジヨン-先生は海外の一流音楽家と交流が多く、彼らが韓国に来てレッスンやマスタークラスをしてくださいますし、私自身も頻繁に欧米の音楽祭や講習会に出かけました。韓国に住んでいても国際的な水準の音楽に触れることができる。コンクールもたくさん受けました。でも先生は結果ではなく、目標を定めて練習することにその意義があるというお考えでしたので、私もひたすら自分の音楽の表現に集中してきました。もちろん演奏する前は凄く緊張するし、どきどきします。でも最初の音を出した瞬間にスイッチが切り替わって音楽に没頭できる。コンサートも同じです。共演者と一緒に最高の音楽を作りたい。そのために一生懸命練習するのです。
 エリザベート・コンクールは小さい頃からの夢でした。私もあの場に立てたらいいなとずっと思っていました。ところが、2年前のコンクールの後で筋肉疲労を起こしてお医者様から3か月間ヴァイオリンを禁じられてしまいました。落ち込みましたね。自分はどうなってしまうのだろうって。犬の散歩など普通の生活をしようとしたのですが、精神的に辛かった。でもそれでかえってコンクールで無心になることができた。

-ジヨンは「夢のコンクール」の本選でブラームスの協奏曲を弾いて優勝する。

ジヨン-特別な夜でした。あの指揮者、オーケストラ、聴衆…。その状況の中で私の中のものを100%以上出し切ることができた。弾き終わった瞬間、涙がどっと出てきた。「なんだかいい演奏ができたみたい」と思いました。でも自分が優勝するとは思ってもいませんでした。これで韓国に帰れると嬉しかった。発表の時に手違いがあって韓国の友人がステージに出て行ったので、彼女が勝ったんだ。良かったなと思っていたら、すぐに戻ってきてスタッフが私を押したので何事かと。ひょっとしたら私?そんな感じでしたね。これからは審査を気にせず、リラックスして演奏できる。朝、目覚めた時に今日は何を弾こうかと考える。幸せですね。

-「将来の目標は」と問うと、「自分の内面を自分らしく表現出来る音楽家です」と彼女の答えは明快だ。そして、同じ大学の大学院に進学する予定だが、これからは様々な土地の雰囲気や文化に触れることも大事だと思っているし、音楽家の仲間をたくさん作りたい。山形交響楽団との共演をとても楽しみにしています、と締め括った。

那須田務 (訊き手・文)
協力:COSARI NEW KOREAN TABLE TOKYO

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飯森範親指揮
『山形交響楽団特別演奏会』 さくらんぼコンサート2016 東京公演

2016年6月23日(木) 19:00時開演 東京オペラシティ コンサートホール
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