芸術総監督・指揮:ワレリー・ゲルギエフ「若い活力を引き出す魔法使い」〜マリインスキー劇場とは〜

マリインスキー・オペラ 2016年来日公演



マリインスキー・オペラ(マリインスキー劇場)
The Mariinsky Theatre
 サンクトペテルブルグはロシア劇場音楽発祥の地であり、早くも1730年代にはこのロシアの首都で、宮廷オペラと宮廷バレエが上演されていた。そのため1783年ペテルブルグにボリショイ劇場が創設され、1860年からはマリインスキー劇場(アレクサンドル二世の皇后マリアにちなんで名付けられた)に会場が移った。その後1935年から92年まで、マリインスキー劇場はキーロフ劇場と呼ばれた。
 この舞台では、グリンカ《ルスランとリュドミラ》、ムソルグスキー《ボリス・ゴドゥノフ》《ホヴァーンシチナ》、ボロディン《イーゴリ公》、リムスキー=コルサコフ《雪娘》、チャイコフスキー《スペードの女王》《イオランタ》など、ロシアの古典オペラの多くが世界初演された。
  マリインスキー劇場は、いつの時代もヨーロッパの一流オペラ作曲家の作品を上演してきた。1862年にはヴェルディの《運命の力》が作曲家の同席のもとで初演され、ここで人気を誇っていたワーグナーのオペラは、19世紀から20世紀初頭まで、しばしば上演されている。《ニーベルングの指環》全曲、《トリスタンとイゾルデ》《ニュルンベルクのマイスタージンガー》《パルジファル》のロシア初演はマリインスキー劇場で行われた。
 マリインスキー劇場は過去においても現在においても、サンクトペテルブルグの文化の中心である。そしてロシア文化と西側文化の精神面の伝統を融合しており、レパートリーには古典オペラの名作が多く含まれている。またマリインスキー劇場は、英国ロイヤル・オペラ、メトロポリタン・オペラ、パリ・オペラ座バスティーユ、ミラノ・スカラ座、フェニーチェ歌劇場、
ニュー・イスラエル・オペラ、サンフランシスコ・オペラ、といった世界の歌劇場と提携してオペラの制作を始めたロシアでは最初の劇場である。
 これらのプロジェクトにより、レパートリーは一段と豊かになり、《戦争と平和》《炎の天使》《カテリーナ・イズマイロヴァ》《賭博師》《オテロ》《ルスランとリュドミラ》《蝶々夫人》などの新プロダクションが共同制作によって生まれた。
 1988年に芸術監督に就任したゲルギエフは、1993年以来、サンクトペテルブルグで毎年開催される白夜の星音楽祭の主催者および芸術監督も務めている。また近年、マリインスキー劇場は世界的な音楽祭(バーデン=バーデン、ザルツブルク、エジンバラ、ロッテルダム、ローマ、ミッケリなど)に毎年参加している。
 2006年には新しいコンサートホールが完成。2013年には新劇場マリインスキーUが完成した。
 現在のマリインスキー劇場は、経験と伝統と若いエネルギーが自然に融合したオペラ・カンパニーとなっている。劇場に所属するソリストたちは、当劇場における公演のみならず、世界中の主要なオペラハウスで活躍している。世界初演からはしばらく遠ざかっていたマリインスキー劇場であったが、今日では、再び現代作曲家作品の世界初演の舞台となっており、最近では、シチェドリンの《魅せられた旅人》、スメルコフの《カラマーゾフの兄弟》、カレートニコフの《使徒パウロの神秘劇》などが世界初演されている。