あらすじ
好色な貴族ドン・ジョヴァンニが征服した女性は優に 2000人。今日もドンナ・アンナの寝室に忍び込むが運悪く見つかってもみあっているうちに、駆けつけた彼女の父親である騎士長を殺してしまう。その後も懲りずに次々に女性を誘惑するが上手くいかないドン・ジョヴァンニが、騎士長の像のある墓地で従者レポレロと話をしていると、突然騎士長の像から叱責の声。恐る恐る騎士長を晩餐に招待するドン・ジョヴァンニ。復讐に現れた騎士長の石像から改心を迫られるが最後まで拒否し続けたドン・ジョヴァンニは、ついに地獄に引きずりこまれてしまうのだった。
 
 

「ドン・ジョヴァンニ」

  石戸谷結子 (音楽ジャーナリスト)
 

近年は奇抜な解釈がトレンドだが、メトの「ドン・ジョヴァンニ」は、これまで見たどの舞台とも違って “新鮮”だった。決して奇を衒ったりするわけではなく、衣裳も装置も一見するとオーソドックスにみえるのだが、あちこちに「わざ」が隠されていて、考え抜かれた、とてもしゃれた舞台だった。演出は、自身が女優でもあるマルト・ケラー。いかにも女流らしく、全体のコンセプトは“ドン・ジョヴァンニをめぐるラヴ・ストーリー”といった感じ。
彼をとりまく3人・アンナとエルヴィラとツェルリーナは、ドン・ジョヴァンニがまき散らす、強烈な魅力の虜になりながらも、現実を見据えるしたたかな女性たちだ。もしかしたら、ドン・ジョヴァンニは彼女らの妄想から生まれた幻想?とも思わせる、謎も秘めた舞台。登場人物たちは、みんな表情豊かで演技が細かく、まるで映画のシーンを見ているよう。そんな舞台なので、キャストはとても重要だ。今回主役を歌うアーウィン・シュロットは、ちょっとセクシーな若手バリトンで、いま欧米で注目株。ルネ・パーペのレポレロは、これが大ヒット。意外にコミカルな演技が巧く、軽快でかっこいい。そしてなにより、 “最高のドンナ・アンナ”と絶賛される、いまが旬のアンナ・ネトレプコと、これまた旬の美声メゾ、マグダレナ・コジェナーとの「美女対決」が実現する。そしてこの舞台、女性ならきっと「納得」していただける、すてきな“ケラー・マジック”が、いくつも用意されているのだ。

   
主催:テレビ東京/朝日新聞社/ジャパン・アーツ
後援:アメリカ大使館

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